2018年1月23日に起きた草津白根山(群馬県)の噴火直後、近くにある草津国際スキー場のロープウェーが止まった。無数の噴石がゲレンデへ降り注ぐ中、複数のスキー客が宙吊りのゴンドラに一時閉じ込められた。
停止したゴンドラの乗客の1人が、運転が再開するまでの緊迫した状況を動画で撮影していた。この動画には、身動きが取れない状況の中で、救助を待つ男性が「絶対に助けてください!」と必死に助けを求める姿がおさめられている。複数のテレビが紹介したこの動画には、視聴者からも大きな反響が寄せられた。
ゴンドラは約10分間「宙吊り」に
噴火は23日朝10時頃発生。各社の報道によれば、降り注いだ噴石により付近で訓練していた自衛隊員の男性1人が死亡。他の隊員やスキー客10人以上が重軽傷を負った。気象庁は発生から約1時間後に、草津白根山の噴火警戒レベルを「入山規制」を示すレベル3に引き上げている。
噴火が起きた直後には、火口の近くを通るスキー場のロープウェーが一時停止。噴火に伴う停電によるもので、予備電源で運転を再開するまでの約10分間、宙吊りのゴンドラの中に複数の乗客が閉じ込められた。
草津白根山の噴火を伝えた各社のニュース番組では、停止したゴンドラ内部の様子を撮影した緊迫の映像が繰り返し放送された。ゴンドラに乗っていたスキー客の1人が撮影したもので、救助後に報道各社に動画を提供していた。
このゴンドラにいたのは、28歳の男性とその妻、カメラを回していた男性の兄の3人。動画ではまず、焦った様子の弟が無線で「白根が噴火しました。僕ロープウェーで今、間近で見てます!」と報告。無線の相手が「今どこにいますか?」と尋ねると、カメラを持った兄が、
「僕らゴンドラの中にいます、中に乗っています。早く助けに来てくれないと!」
と捲くし立てる。続けざまに弟は「絶対に助けてください!僕たち皆、家族なんで!」と絶叫。無線の相手が「(そのまま)待てますか?」と落ち着いた声色で聞くと、
「待てますけど...、石が飛んで来たり色々大変な状況なので、もうすごく怖いです...!」
と祈るような調子で弟が答えていた。