新宿と八王子などを結ぶ京王電鉄は2018年1月24日、座席指定特急「京王ライナー」を2月22日から運行すると発表した。座席指定料金は400円。京王は多摩方面では小田急、八王子方面ではJR中央線と競合している。
運行されるのは夕方~夜以降、下り方面のみだが、利用状況によっては朝にも運行したい考えで、競争が激化しそうだ。ただ、京王は「小田急との対抗というよりも、一番の課題は多摩ニュータウンの活性化」と話す。「座れる特急」で、高齢化する沿線住民を取り込みたい考えだ。
2人掛け座席が並ぶ「クロスシート」の状態で運行
「京王ライナー」は新宿から1日に京王八王子行きを5本、橋本行きを5本ずつ運行する。ラッシュ時間を避け、平日は20時~0時台、土・休日は17~21時台に設定した。
17年に16年ぶりに導入した新型車両、5000系を使用する。窓を背にする「ロングシート」の状態と、進行方向を向いた2人掛け座席が並ぶ「クロスシート」の状態とを切り替えられるのが特徴で、「京王ライナー」は「クロスシート」で運行する。無線LANや電源コンセントを備え、通勤客の利便性も高めた。京王が相互乗り入れしている都営新宿線への乗り入れも検討している。
沿線住民が高齢化していることも新列車の導入を後押しした。紅村康社長は、
「(京王と同じ多摩センターに乗り入れる)小田急との対抗というよりも、我々の一番の課題は多摩ニュータウンの活性化」
「買い物難民が増えている。まだまだ努力が足らないところもあるので、通勤の利便性向上を含めて施策を打っていきたい」
などと話し、高齢でも通勤しやすくして地域活性化につなげたい考えだ。18年3月には京王多摩センターが通る相模原線の運賃を10~20円値下げする予定だ。小田急は多摩センターがある多摩線には現在はロマンスカーの定期便を走らせておらず、京王が先行したと言えそうだ。
JRの「中央ライナー」より110円安い
京王はJR中央線とも競合している。JRは八王子方面に、特急用のE257系を活用した「中央ライナー」「青梅ライナー」を走らせる。運賃と別に必要な「ライナー券」は510円で、京王はそれよりも安く設定した。これとは別に、JR東日本は15年2月、20年度から中央線の快速電車にグリーン車を導入すると発表。しかし、17年3月に「数年程度」の延期を発表している。現在の10両編成の「E233系」電車にグリーン車2両を増結する計画だったが、ホームの延長などに時間がかかるためだ。この点でも、京王は「先手を打った」とも言えそうだ。