国内で販売されている白い砂糖は「上白糖」、茶色の砂糖は「三温糖」と呼ばれている。白い方は漂白しているため、茶色の方が体に良い――
こんな話を聞いたことがある人も多そうだが、NHKの情報番組「あさイチ」が砂糖に関する特集を組み、漂白はしておらず、白も茶も成分にほとんど差が無い、と放送したことでネット上に激震が走った。
「科学的根拠を示すものはありませんでした」
「あさイチ」の2018年1月22日の放送ではまず、砂糖はどのように作られているのかを説明した。天然素材のサトウキビから砂糖の基となる「原料糖」を取り出し、それを「結晶」と「蜜」に分離する。「結晶」を液状にして濾過したものが白い砂糖になり漂白はしていない。「蜜」を3回煮詰めて結晶化したものが「三温糖」で、熱によって色が茶色になる。
番組に登場した女子栄養大学短期大学部の松田早苗教授は、この2つの砂糖の違いは「微々たるもの」とした。成分の違いとしては、「上白糖」100グラムに含まれる成分は、「上白糖」のカリウム2ミリグラム(mg)、カルシウム1mgに対し、「三温糖」はそれぞれ13mg、6mg。数字だけなら差があるように見えるが、カリウムは中くらいのリンゴに350mg、カルシウムはマグカップ1杯の牛乳に220mg含まれている。「三温糖」でこうした成分を摂取しよう考えず、野菜や果物、乳製品で摂取していただきたい、とした。
さらにNHKの調査として、
「白い砂糖が茶色い砂糖よりも健康に害を及ぼす、という科学的根拠を示すものはありませんでした」
と発表した。砂糖自体が体に悪いという説については、番組に出演した東京慈恵大学の西村理明准教授が、
「過剰摂取はいけないけれども、私たちの頭(脳)はエネルギーとして糖しか使わないため、適切に美味しく取ることが大切です」
と砂糖摂取の重要性を語った。
司会の井ノ原快彦さんは、これまで茶色い砂糖が健康によく、白い砂糖は漂白していると信じていたとし、
「誰がそれを言い出したんですか!?」
と驚いていた。
栄養成分を見ても「殆ど違いはない」
ネット上でも白い砂糖は漂白しているから健康に悪く、茶色い砂糖は体にやさしいと思っていた、などといった声が上がり、
「栄養価に差がほぼないと。じゃあ、風味や好みが違うだけ??」
「白い砂糖は身体に悪いとかいうの科学的根拠ないのかよ。なんか妙な健康宗教に踊らされてたなぁ」
「上白糖は『シロ』でした。都市伝説でした」
「離乳食情報で色つきの砂糖の方がいいと各所で読んだけど、トンデモだったんかい」
などといったことがツイッターに書き込まれた。
J-CASTニュースが1月23日、「スプーン印」で知られる砂糖の三井製糖に取材したところ、白いものは体に悪く、茶色が体にいいという何の根拠もない風説がかなり昔から存在する、と打ち明けた。そもそも「上白糖」は白く見えるだけで、実際は透明な結晶なのだという。「上白糖」と「三温糖」の違いは栄養成分を見てもらえば分かるように殆ど違いはなく、要は味の好みと使い道。「上白糖」は基本的にオールラウンドで使用ができ、色を付けたくない料理などに最適だ。「三温糖」は煮詰めて製造するためコクのある味になる。
「煮物や照り焼きなどに適していると思います」
と同社広報は話していた。