卓球の全日本選手権で優勝した張本智和(14)のトレードマーク「チョレイ!」をめぐって賛否が渦巻いている。
たびたびあげる雄叫びに「うるさい」という声が寄せられているのだ。一方で、卓球を知る人々からは「大声を出して自分を鼓舞するのは当たり前に近い」との反論もある。卓球には威嚇行為などを禁ずる「バッドマナー」の定めがあるが、日本卓球協会はどう捉えているか。J-CASTニュースが取材した。
「最年少優勝はすごいけど、やっぱりちょっとうるさいな...」
張本は2018年1月21日の全日本選手権男子シングルス決勝で、大会4連覇中の水谷隼(29)を4-2で破り、史上最年少優勝を達成。17年6月の世界選手権に続く日本のエース撃破となった。
伸び盛りの14歳。20年東京五輪に向けて期待のかかるホープだが、素直に喜べない人々もいるようだ。張本が見せる「チョレイ!」などの叫びに対し、ツイッターにはこんな投稿が続々となされている。
「この人チョレーチョレーうるさい。確かに卓球界では日本一かもしれないがもう少し自分を磨いてジェントルマンになってくれ。まー子供に言っても無理か。。」
「チョレイやめたら応援してもいいけど うるさい」
「チョレイなどうるさ過ぎ」
「最年少優勝はすごいけど、やっぱりちょっとうるさいな...」
ただ、卓球をよく知ると思われるユーザーは反論している。
「もっとうるさい人沢山いるし声出すのはむしろ気合い入ってて好きだわ」
「張本が特別みたいに言うけど、卓球やってる人からしたら普通やと思うんやけどな?」
「中学生の試合あんなもんやんって経験者は思う(点とったら声だせ、ミスしても声だせ言われてた私の部活)」
試合中の叫び声といえば、女子テニスのマリア・シャラポワの声が物議を醸したことがあった。2011年、キャロライン・ウォズニアッキが、うなり声でボールの速度が正確に判断できないと訴えていた。張本の声についても「テニスでシャラポワ選手のうなり声がうるさくて騒音という話を聞きますが、それをいうと卓球の張本選手もなかなかだなぁって」と、想起するツイッターユーザーは何人かいる。
専門家「全然問題ないですね」
日本卓球ルールには「バッドマナー」という項目があり、競技者・監督・コーチが相手に不当な影響を与えたり、観客に不快感を与えたりする行為を慎むよう定めている。具体的には大声で相手を威嚇するなどの行為が見られると、主審の判断でペナルティが与えられる場合がある。
ただ、張本の声はルールに抵触するとは考えられていないようだ。公益財団法人・日本卓球協会は22日、J-CASTニュースの取材に「バッドマナーは、プレーに支障が出たりモラルに反したり、目に余る行為だと主審が判断すれば取る可能性があります。ただ、張本選手の声については威嚇には当たらず問題がありません。また他の多くの選手も自分を鼓舞するために声を出しています」と話した。
卓球世界選手権に3度出場経験のある坂本竜介氏も、22日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)で「全然問題ないですね」とした上で、
「相手を威嚇しなければ問題ありません。彼の場合はガッツポーズする時に相手を見てではなく、横やコーチのほうを向いて一緒に喜びを分かち合う。卓球選手はよく声を出します。相手を見るとか、ネット前まで行って挑発するような叫び方をしているわけではなく、相手選手としては『チョレイ』に対して何の不快感も持っていないですね」
と見解を述べている。
張本本人は雄叫びについて、優勝直後の21日夜「サンデースポーツ」(NHK)に生出演して語っている。同大会女子シングルス優勝の伊藤美誠(17)が苦笑いしつつ「叫び声やハリバウアー(勝利時に大きくのけ反る歓喜のポーズ)、疲れないの?」と尋ねると、張本は「試合中、自分が点を取っていれば疲れも何もないので、どんどん勢いで声出してます」と答えた。感情を表に出すことは「自分の緊張もほぐれますし、プレーにも影響があると思うので、プラスのイメージしかないと思います」と前向きだ。