2017年の新車販売台数は、国内は3年ぶりに前年実績を上回ったが、米国は8年ぶりに減少に転じ、明暗が分かれた。米国では日本勢が得意とするセダンなどの乗用車の売れ行きが思わしくなく、全体を押し下げている。2018年は、国内横ばい、米国減少を予測する見方が多い。
国内の販売台数(軽自動車を含む)は2016年比5.3%増の523万4166台だった。2年ぶりに500万台の大台に乗せた。日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が2018年1月5日、発表した。
無資格検査問題の影響は
ブランド別にみると、トヨタ自動車158万7062台(3.9%増)▽ホンダ72万4834台(2.5%増)▽スズキ66万5871台(6.9%増)▽ダイハツ63万856台(7.5%増)▽日産自動車59万1000台(10.6%増)▽マツダ20万9689台(4.1%増)▽SUMARU(スバル)17万6737台(13.5%増)▽三菱自動車9万1621台(6.9%増)――などだった。
好調の要因の一つは、軽自動車の復活だ。184万3342台で、2016年比6.8%増だった。15年春の軽自動車税引き上げ以降、販売不振が続いていたが、スズキの「ワゴンR」やホンダの「N-BOX」など主力車種が好調だった。登録車を含めると、無資格検査問題を受けて日産やスバルは秋以降不振だったが、年間だと2ケタ増だった。
2018年は、国内景気の拡大基調を追い風に、販売台数は底堅く推移するとの見方が多い。不安材料は日産やスバルの無資格検査問題がどこまで尾を引くかだ。安全上重大な問題に発展していないため、影響は軽微とみる向きが多いが、ブランドイメージが傷ついたことは間違いなく、客離れが起きる可能性も否定できない。
ピークアウト感が出てきたのが、米国市場だ。米調査会社オートデータが1月3日に発表した2017年の米新車販売台数は16年比1.8%減の1723万436台だった。
割安な中古車が出回り、新車需要を圧迫する構図が強まっている。米金融政策は引き締め方向に転じており、自動車ローンの金利上昇も足かせとなった。
米国市場は微減傾向?
「売れ筋」も燃費がよい乗用車から、ピックアップトラックに変わった。燃費の良い小型車を得意とする日本勢にとっては逆風だ。
シェア首位の米ゼネラル・モーターズ(GM)は1.4%減の299万9605台▽米フォード・モーターは0.9%減の257万5200台▽トヨタは0.6%減の243万4518台▽欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は8.2%減の205万9376台と、上位勢は総崩れだった。続くホンダは0.2%増の164万1429台▽日産1.9%増の159万3464台と健闘した。
2018年は前年の微減傾向が続き、1600万台を下回るのではとの見方が多い。世界2位の自動車市場である米国は、日本勢にとっては「稼ぎ頭」だ。しかし市場の縮小が続くようだと、戦略の見直しを迫られる可能性もある。