トヨタが脱「クルマ会社」宣言 その新たな野望とは

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   トヨタ自動車は、米ラスベガスで2018年1月9日から4日間開催された世界最大の家電市「CES」に、自動運転の次世代電気自動車(EV)「e-Palette(イー・パレット)コンセプト」を出展した。

   米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムや米ライドシェア大手ウーバーテクノロジーズなどと組んで車両を開発、2020年代前半に米国で実証実験を始める。自動運転などの普及に伴って車の「所有」が減ることを見越し、モビリティ(移動)サービス事業に本腰を入れる。

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モビリティサービスに注力

   出展されたイー・パレットは全長4.8メートル、全幅2.0メートル、全高2.25メートルの低床・箱型デザイン。実用化に際しては全長4~7メートル前後の3サイズを用意し、ライドシェア仕様、ホテル仕様、移動販売仕様といったサービス事業者の用途に応じた設備を搭載する。2020年の東京五輪では一定のエリア内で人を介さず自動運転できる「レベル4」の機能を積み、大会関係者を運ぶ予定だ。

   アマゾン、ウーバーのほか、中国ライドシェア大手の滴滴出行、ピザハット、マツダの計5社を第1段パートナーとした。企画段階から意向を聞き、開発を進める。単に車両を供給するだけでなく、新たなサービス形態も提案していく。豊田章男社長は「これまでのクルマの概念を超えて、サービスを含めた新たな価値が提供できるモビリティ社会の実現に向けた、大きな一歩だ」と述べた。

   トヨタがモビリティサービスに力を入れるのは、自動運転やライドシェアの進展によって、車の販売台数が減りかねないという危機感があるためだ。車は自ら運転するものではなく、単なる「移動するハコ」になる。個人で所有するのではなく、共有されるとなると、これまでの車の概念ががらりと変わってしまう。

グーグルやアップルも「ライバル」に

   車の使い方が変わろうとしている中、単に「車を作って売る」という従来のビジネスモデルだけでは生き残れない。豊田社長は「トヨタはもともと自動車ではなく自動織機の発明により創業した会社。祖父である豊田喜一郎は、織機を作ることから自動車を作ることを決意した。私はトヨタを、クルマ会社を超え、人々の様々な移動を助ける会社、モビリティ・カンパニーへと変革することを決意した」と力を込めた。さらに「私たちの競争相手はもはや自動車会社だけではなく、グーグルやアップル、フェイスブックのような会社もライバルになってくる」とも述べた。豊田社長がここまで踏み込んで改革の方向性を公言したことは、これまでなかった。

   目指すのは、自動運転の車両を供給することだけではない。「様々なコネクティッドサービスに必要な、モビリティサービスプラットフォームをつくる会社になる」(豊田社長)ことだ。スマートフォンの世界に例えるなら、グーグルやアップルのようなOS(基本ソフト)を提供する会社になることを、トヨタはモビリティサービスの世界で目指している。ライバルがひしめく中、トヨタの野望がどこまで実現できるのか、注目されそうだ。

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