金八先生、人という字は...
『謎の漢字』(中公新書)など漢字に関する多数の著書がある、早稲田大学の笹原宏之教授はJ-CASTニュースの取材に対し、「子」に対する件の解釈は「新しいものだと思います」といい、
「篆書(てんしょ)以前の字形からはあり得ない解釈で、始めから終わりまで、という道を好む日本人が思い付き、人々が受け入れた、いかにも日本らしい俗解だと考えます」
との見解を示す。
「人という字は、人と人とが支え合ってできている」。人気ドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)で有名になったこの文句は、あなたも聞いたことがあるだろう。
実際には、「人」の漢字は1人の人間が立っているのを、横から見た姿が元になっている。ほかにも、「木のうえに立ってこどもを見ているから『親』」「いそがしさに心を亡くすから『忙』」「たべることは人を良くするから『食』」――いずれも、学者による字源説とは異なる俗説だ。しかし日本では古くから、こうした話が広く好まれてきた。
笹原教授は「子」の解釈について、「人が支え合って......」の話と同じく、「人生訓としては良いし、名付けに利用するのも自然なこと」としつつも、
「赤ちゃんの象形文字という事実と、尊称から女性の名に変わったという歴史も学ぼうとする姿勢が求められます」
と指摘する。