国語辞典「広辞苑」の第7版が2018年1月12日に発売されると、解説の中に誤りがあるとの指摘が相次いだ。性的少数者を意味する「LGBT」の説明に続き、「瀬戸内しまなみ海道」について、経由する地名を間違えてしまったのだ。
日本を代表する辞典なのに、これからも間違いが発見されるのではないかと予想する人もいて、ネット上では、「辞書なんてネットでいいだろ」「ウィキペディアで確認しながら編集しろ!」などといった書き込みが掲示板に出ることになった。
「しまなみ海道」は「周防大島」を経由している?
「広辞苑」といえば、今回の10年ぶりの大改訂となる第7版発売前に、ちょっとしたニュースがネットを騒がせていた。6版の「中華人民共和国」の項目で、台湾を「台湾省」と表記し、中国地図も台湾を他の省と同じ色に塗っているとし、台北駐日経済文化代表処が17年12月11日に「断じて中華人民共和国の一部ではない」と修正を要求した。また、18年1月9日に将棋ライターの松本博文さんが「ヤフー!ニュース」で、将棋宗家伊藤家始祖の説明が20年間間違ったままだと指摘し、「広辞苑」に申し入れていると書き、いずれもネットで話題になった。岩波書店は17年12月22日に公式HP上で「台湾省」の説明は誤りではない、との見解を発表した。将棋の始祖の説明は第7版で修正した。
そうしたなかで10年ぶりの大改訂をして発売されたのが第7版だ。新たに1万項目が追加されているが、その中で誤りが次々に指摘されたのだ。まず、ネット上で性的少数者を意味する「LGBT」の説明が正確ではないと騒ぎになった。「多数派とは異なる性的指向をもつ人々」と記されたが、「T」のトランスジェンダーは心と体の性が一致しないことを指していて、性的指向とは関係が無い、と指摘された。そして18年1月18日には「しまなみ海道」の説明が間違っているという報道が出た。
「しまなみ海道」は広島県尾道市から愛媛県今治市を結んでいるが、経由地として「周防大島」と掲載された。「周防大島」は山口県南東部の周防大島(正式名称は屋代島)であり、正しくは愛媛県今治市の「大島」だった。販売する書店などから間違いの指摘が相次いでいたという。