外相専用機の必要性を訴えている河野太郎外相が2018年1月17日、フェイスブックで歴代の外相が訪問した国の一覧を掲載した。それによると、過去に外相が一度も訪問したことがない国は、アフリカや中米、ミクロネシア諸国を中心に86か国にのぼる。
中国やトルコがアフリカへの外交攻勢を強めている中で未訪問国が多く残っている現状に、「訪問しないまま放置しておいていいということにはなりません」と危機感を募らせている。
ASEANの外相から「電話一本で外交が済むと思うな」とクギさされる
河野氏は18年1月、パキスタン、スリランカ、モルディブを訪問。その際、外相のスリランカ訪問が03年1月の川口順子氏以来15年ぶりだったことを知らされて「驚いた」として、訪問の履歴をリストアップすることにしたという。過去に外相が訪れたことがない86か国の中には、サモア、パラオ、ソロモン諸島といったミクロネシア諸国や、ウガンダ、ジンバブエ、ジプチといったアフリカ諸国が目立つ。
河野氏は東南アジア諸国連合(ASEAN)のある国の外相から
「電話一本で外交が済むと思うな」
とクギをさされたことを紹介しながら、
「日本は、国際社会に対して、国連の安保理改革や核廃絶決議案、あるいは北朝鮮への圧力の強化などを呼びかけていますが、この現状はどうでしょうか」
「訪問すればよいというわけではありませんが、訪問しないまま放置しておいていいということにはなりません。しっかり対応を考えていきます」
と訴えた。とりわけアフリカについては
「中国の王毅外交部長は毎年、こつこつとアフリカをはじめ世界中を訪問し、トルコもこの数年、アフリカの大使館数を急速に増やして外相が毎年戦略的に各国を訪問しています」
と危機感を示した。
5年間で日本は97か国、中国は延べ262か国
河野氏は17年12月19日の記者会見で、日本の外相が13年1月から5年間で97か国を訪問したのに対して、中国外相は延べ262か国を訪問したとして、
「国会の対応は別として、ロジの効率化というところは真剣に考えていく必要がある」
としていた。島しょ国を訪問する際、専用機であればハブ空港と訪問国を何度も往復せずに済むため、
「必要な時に専用機を使えるというのは訪問国を増やす上でも非常に大きな役割を果たすと思う」
として、専用機の購入、レンタル、リースなどの方法を
「真剣に検討しなければいけない」
と話していた。