「今週のサザエさんヤバい」「波平がまたやべぇもの買ってきた」――アニメ「サザエさん」(フジテレビ系)を観ていた視聴者が、一気にざわついた。
人々をどよめかせたのは、2018年1月14日に放送された「父さん メダマ焼の友」の回だ。タイトルの時点で、どことなくシュールな気配がするが、その内容は――?
ソース、しょうゆ、塩を一台で...な珍発明
いつものように帰宅した波平、玄関で出迎えたカツオたちに「おみやげ」として紙袋を手渡す。中に入っていたのは、「メダマ焼の友」なる機械だ(なお、マスオは一目見て「なんですかその奇妙なものは」と直球すぎるツッコミを入れている)。
目玉焼きといえば、調味料の好みが分かれる料理の一つだ。ソース、しょうゆ、塩――だがこの「メダマ焼の友」があれば、各調味料をセットしておくと、つまみを切り替えるだけで、1台でこの3種の調味料を出し分けることができるという。
「どうだ、これ1台あればいつでも目玉焼きが食べられる」
波平は得意満面だが、フネとサザエは顔を見合すばかり。当たり前だ。単なる出し分けができる調味料入れでしかないのだから。その上、力加減が微妙で、ちょっと振るのが強すぎると、大量に塩が出てしまう。しかも、後になって明らかになるのだが、そのお値段は「数万円」だという。
そんな磯野家に、ノリスケがやってくる。カツオが「めんどくさいことになる」とメダマ焼の友を隠していたところ、何も知らないノリスケが「豪華なプレゼント」「ノーベル賞的な発明品」として取り出したのはなんと、同じメダマ焼の友だった。
ノリスケによれば、この機械は「下町のエジソン」と呼ばれる町の老発明家が作ったもので、今後の大きな発明計画の資金稼ぎとして売り出したのだという。もっとも、購入したのは波平や、カツオの友人・花沢さんの父など、ごく少数だったらしいが......。そんな話を聞いた磯野家、
「父さんは目玉焼きの友じゃなくて、大きな夢を買ったんだよ」(カツオ)
「素晴らしい発明の資金になったんですからね」(フネ)
と納得して、話は幕となる。
11年越しの「全自動タマゴ割機」続編?
こうしてあらすじを紹介するだけでもなかなかツッコミどころが多く、視聴者がどよめいたのも無理もない。だが実は、11年前の2007年にも、似たような話があったのだ。
その「父さん発明の母」の回は、やはり波平が変な商品を買ってきたことから始まるドタバタ劇である。その「全自動タマゴ割機」は、生卵をセットしてレバーを引くと、ハンドルで卵をつかみ、割って中身を下の皿に開けてくれる――という、明らかに「手で割った方が早い」珍製品だ。この回は当時、ニコニコ動画に転載されて人気を呼び、逆再生などの編集を加えたいわゆる「MAD動画」が大量に投稿された。『現代用語の基礎知識2008』にもこの回のマスオのセリフが「名言」として収録されるなど、いわば「伝説の神回」だ。
今回の「メダマ焼の友」は、筋書きも似ている上、同じ卵つながり。またかつて全自動タマゴ割機をバカにして波平の逆鱗に触れたノリスケが、今回は逆に同じ機械を持ってくるなど、11年前の「神回」の続編、あるいはセルフオマージュともいえる内容だった。
そのため、ツイッターでは、
「全自動卵割り機の再来に相応しい神回だった」
「波平が変な機械を買う→子供たち&マスオが波平ヨイショ→フネサザエ呆れる→ノリスケがハイエナに来る 完全に全自動卵割り機のリバイバルや」
「ノリスケが家に来たところで全自動たまご割り機の過去を学んで目玉焼きの友を台所に隠したカツオ」
「おい! お前ら!! 今日のサザエさん神回だぞ!!! 卵割り機の続編だぞ!!!!」
などなど、「全自動タマゴ割機」の回を思い出して興奮する人が相次いだ。
なお、脚本は同じ雪室俊一氏である。