「こだわり」がなくなった――? 京都大学の生協食堂のあるメニューに、文字通りのそんな変更があった。
人気の「こだわり南瓜煮」が、食材高騰を背景に2018年1月4日から「南瓜煮」に変わった。
「こだわり南瓜煮 組価86円 → 南瓜煮 組価64円」
あるツイッターユーザーが9日に投稿したのは、「メニュー変更のお知らせ」の貼り紙を撮った写真。そこには、「食材高騰のため、下記メニューを変更いたします。申し訳ありません」として、次のように記載がある。
「こだわり南瓜煮 組価86円
↓
南瓜煮 組価64円」
そして「なにとぞご事情をご賢察の上、御理解いただきますようお願い申し上げます」と書き添えている。掲示されていたのは、京都大学の西部構内にある生協食堂「カフェテリアルネ」。ユーザーはツイートに「こだわりを撤する」と書いており、どこか物寂しそうだ。
文字通りの「こだわり」がなくなってしまった南瓜煮、どんな事情があったのか。
京大生協食堂部の担当者は12日、J-CASTニュースの取材にまず、
「『こだわり南瓜煮』86円と『南瓜煮』64円の2つの副菜メニューがあり、京大生協では『こだわり南瓜煮』を今まで提供していました」
と説明。その上で「組合員と試食会を行い、より支持の高かった方を日常的に提供すると言うことで『こだわり南瓜煮』が選ばれました」と経緯を明かす。
「86円で提供することが困難になりました」
両者の違いは何か。担当者は「『こだわり南瓜煮』は、生の南瓜をカットし、店舗で炊くと言うメニューです。生の南瓜をほっこりと炊きあげるために『こだわり南瓜煮』というメニュー名でした。『南瓜煮』は、冷凍のカットされた南瓜を店舗で炊くというメニューです」としている。前者は「生」、後者は「冷凍」のカボチャという違いがあり、
「『こだわり南瓜煮』と『南瓜煮』では、南瓜の使用分量も違い、全く別のメニューと言うことです」
と説明した。
カボチャは「エネルギー量もあり、栄養価の高い緑黄色野菜であり、学生組合員に是非とも食べて頂きたい副菜」とのことで、「こだわり南瓜煮」は人気メニューの1つだった。10年ほど前から学内の全食堂で提供を続けていたという。
それがこのタイミングで変更に踏み切った背景には、高騰する野菜市場がある。
「昨今の野菜価格の高騰が影響し、生の南瓜の仕入れ価格が高騰し86円で提供することが困難になりました。南瓜は組合員に是非とも食べて頂きたい副菜でもありますが、食材原価の高騰で86円から値上げしてしまっては、副菜として食べて頂く事が出来ないのでは無いかと言うことで、仕入れ価格が比較的安定している冷凍南瓜を使用した『南瓜煮』を提供することにしました」
農林水産省が10日に発表した食品価格動向調査結果によると、17年12月25~27日の野菜価格の全国平均は、平年比でキャベツ2.1倍、レタス2.38倍、ダイコン2.02倍など、調査対象の5品目すべてで大きく値上がりした。
生協担当者は「組合員が食べたい『こだわり南瓜煮』を値上げして提供することよりも、少しでも栄養バランスを取ってもらえるように『南瓜煮』に変更したということです」としている。食堂の小鉢1品ながら、世情を反映した現象と言えそうだ。