爆買いの夢、ふたたび? 百貨店にみる訪日客の消費「再拡大」

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都心店と郊外店の格差

   訪日外国人の現状について、最新の統計(17年11月まで)でみると、11月は前年同月比26.8%増の237万7900人。格安航空会社(LCC)の路線増加も後押しし、韓国や中国、インドネシア、ベトナムなどアジア各国が大きく伸びた。17年1~11月の累計は2616万9400人で、前年同期比19.0%増。12月を待たずに16年通年を超えた。17年(1~11月)は韓国が40.6%増の646万人と伸び、首位の中国(14.2%増、679万人)に迫っているのが特徴だ。

   百貨店の経営上注目すべき訪日外国人の消費額は、最新の統計である17年7~9月期を見ると前年同期比26.7%増の1兆2305億円。人数が増えているだけでなく、1人当たりの消費額も17年7~9月期は6.6%増の16万5412円となり、実に15年10~12月期以来、7四半期ぶりに前年同期の実績を上回った。7~9月期としては15年の実績を下回っているとはいえ、爆買い沈静化から回復基調にあることを裏付けた。17年7~9月期の国別消費額を見ると、首位中国は全体の44.1%を占め、5432億円。2位台湾(1490億円)、3位韓国(1361億円)と続く。

   ここで、はたと気づくのが、通年の人数で中国に迫る韓国が消費額ではその4分の1程度にとどまることだ。旅行業界通によると、日本を訪れる韓国人は他国より圧倒的に若年層が多く、相対的に消費すべきお金をあまり持ち合わせていないそうだ。日韓の物理的距離は近いだけに、韓国の若者にとって東京や大阪を訪れることは「大阪から夜行バスで東京ディズニーランドに遊びに行く」ぐらいの感覚になっているのかもしれない。それに比較して中国人の買い物意欲の強さが目立つ。

   訪日外国人の消費が百貨店を潤しているのは間違いないが、外国人が多く訪れる都心店とそうではない郊外店の格差はむしろ広がっている。例えば高島屋は17年3~11月期において大阪店(大阪市中央区)の売上高は10.1%増の1020億円、日本橋店(東京都中央区)の売上高が2.0%増の982億円<大阪が上というのも訪日外国人の影響をうかがわせる>だったのに対し、立川店(東京都立川市)は10.0%減の93億円、泉北店(堺市)は7.2%減の119億円と低迷。こうした傾向は他社も共通している。各社とも郊外店の閉店は進めているが、このままでは一段のリストラを迫られそうだ。

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