1月末に国際規格に基づいたフォント公開予定
IPAの発表によると、国際標準化機構(ISO)が文字コード国際規格書「ISO/IEC 10646」最新版を発行したことが17年12月22日に判明した。IPA広報部に確認すると、ここにIPAから提案していた文字すべてが収録された。「国際規格化の完了」が意味するのは、これだ。IPAでは18年1月末をめどに、この新規格に基づいたフォントを公開する予定だという。
新フォントをPCにインストールすれば、マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」や業務ソフト「オフィス」ほか、現在市販されている最新のOS、ワープロ、ブラウザがPCに入っていればこのフォントに実装された文字すべてを使えるとIPAは説明した。
ただし、フォントが整備されたからといって、PCの「カナ漢字変換キー」を押してその文字がすべて出てくるかどうかは、PCやソフト側の機能の話になるので別問題となる。それでも文字コードの番号を探して入力したり、IPAが提供する検索システムで該当文字を検索したうえで「コピペ」したりできるので、画面上に表示、あるいは印刷できる。
自分だけでなく相手のPCにも「文字化け」せずに正しく表示させるには、相手も同じように国際規格に準拠したフォントをインストールしていなければならない。現状で該当するフォントは、IPAが今月中に発表予定のものだけだが、今後は民間メーカーが新しいフォントを開発するかもしれない。
気になるのが、著名人の名前やニュースにしばしば登場する地名で、カナ書きや別の漢字になっている表記だ。例えば、草なぎ剛さんの「なぎ」(弓偏に、「前」の様な字とその下に「刀」)や、宮「崎」あおいさんの「ざき」(崎のつくりの上が「大」ではなく「立」)、中国広東省深センの「セン」の字は今後、漢字で表記できるのか。IPA広報によると、いずれも新フォントに収録されているという。これら3文字は、日本工業規格(JIS)による文字分類の第1~第4水準のうち、第3水準に属する。第1水準が最も基本的な文字だ。現状では「旧式を含め、ほぼすべての情報機器で扱えるとの判断から、ウェブページや電子メールなどに用いる文字を第2水準までに限定するといったガイドラインがよくあります」という。このため第3、第4水準が「環境依存文字」として、文字化けを起こすことがある。
今回の国際規格化では、第4水準まですべてを含んでいる。新フォントが普及すれば、草なぎさんの名前が正しく、文字化けせずに漢字表記される日が来そうだ。