振り袖の販売・レンタルや着付けを手がける「はれのひ」が成人式当日に連絡が取れなくなり、着付けを依頼していた多くの新成人が路頭に迷った。その時、インターネット上で同情の声に交じって複数流れたのは、「着付け自分ですればいいのに」といった指摘だった。
だが、すぐに「随分乱暴で世間知らずなことを」との反論も出ることになった。自力での着付け、どういう点で困難があるのか。
「随分乱暴で世間知らずなことを」
「はれのひ」は、成人の日の2018年1月8日に突然店舗が閉鎖。事前に着付けの料金を支払っていたにもかかわらず振り袖を着られなくなった新成人が相次いだ。
当時ツイッターには同情の声だけなく、こんな意見も少なくなかった。
「自前の着物持ってるなら自分で着付けとメイクしろよ」
「そもそも自分で着れないなら買わない方が良いだろうし、買うなら着方ぐらい勉強する方が良い」
「自分で着付けできれば、あんな高い着付け料金を業者に払わないで済む」
だが、こうした考えには程なくして反論も出ることになった。
「自分で着付けできなきゃ着るな? 随分乱暴で世間知らずなことを」
「成人式の着付けやメイクはお金払ってやってもらうのが主流だと思ってたので、『自分で出来ないくせに着るな』という意見が出るとは思いもしませんでした」
「被害者の叫びを『着付けできないなら着物着るな』って言える神経よ・・・」
「騒動で着付けなめてる人ばっかりで(主に男性)教えてやるからお前も自分で着てみろ、ですよ」
振り袖は「着せてもらうこと前提」のものという考えが強い。自分でする際には具体的に何が困難を伴うのか。
着付師「特に帯結びには特殊な技術を要します」
東京都内の着付け教室につとめる着付師の女性は12日、J-CASTニュースの取材に「特に帯結びには特殊な技術を要します。最近は羽を5~6枚なびかせる形が多くなっておりますが、こういったものは専用の道具を使ってつくっています」と話す。専用の道具は着付け教室ごとに用意している場合が多く、簡単に入手できるようなものでもないという。また、「帯はかなり力を入れないと締められませんし、帯を締める際に腕や体を動かすと着物のほうが崩れてしまいがちです」とも話す。
帯結びの種類は女性の髪型のアレンジのようなもので、単純なものから複雑なものまで多様。たとえば「三つ編みができても、結婚式用のアップスタイルが自分でできるわけではありません」とのこと。「自分で着付けができると言う方も、成人式で使うような華やかな帯結びができるというケースはほとんどありません。2~3回練習して習得できるようなものではなく、まして振り袖を着てきた機会の少ない20歳の方となると、自分で着付けをするのは現実的ではないでしょう」と同着付師は話していた。