あの「ささやき女将(おかみ)」が久々にテレビに姿をみせた。料亭の不祥事会見の際、回答に窮する隣の長男に「小声」で模範の回答を教え、その音声がマイクに拾われてしまった、あの人物だ。
伝説の会見から10年以上。テレビのインタビューに答え、元気そうな様子をみせると、ツイッターでも「なつかしすぎる」「今見ても面白い」と話題になっていた。
「それはない。それはない」
2018年1月11日放送のバラエティ番組「バイキング」(フジテレビ系)は、数々の「伝説の記者会見」を取り上げた。その中に、07年末にあった船場吉兆の「ささやき女将」会見映像もあった。
当時、大阪市に本拠を置く料亭だった船場吉兆が、産地偽装や賞味期限切れ食品の提供などの問題を起こし、釈明会見を開いた。女将の湯木佐知子さんや、長男で専務の喜久郎氏らが出席。記者からの質問への回答に詰まる喜久郎氏の右隣に座る女将は、
「それはない。それはない」
「頭が真っ白になっていた」
などと、ささやき声で回答すべき内容を伝えた。そして、その音声がマイクにはっきりと拾われていた。
この一連の様子が「面白い」「笑える」と評判になり、「ささやき女将」という言葉まで生まれ、08年の新語・流行語大賞にノミネートされた。
今回、「バイキング」のインタビューに答えた佐知子さんは御年80歳。白髪に白っぽい洋服姿で、当時の会見について、
「横で答えに詰まっている息子を何とか助けてやりたい一心で、(ささやきが)出てしまった」
「マイクの性能が優れていて、丸聞こえになっているとは夢にも思いませんでした」
と、淡々とした様子で振り返っていた。番組では、船場吉兆が会見の翌年に閉店したことや、その数年後に次男が大阪・北新地で新しい日本料理店を開業したことなども紹介。佐知子さんは女将を引退し、今では「時折、店でアドバイスを送っている」そうだ。