スルメイカは10年間で19万トンから7万トンに激減
一方で外国船、特に中国や台湾がサンマを乱獲しているとの報道があるが、先述の勝川氏は、データ上影響は限定的と説明している。
ルール違反で問題視されているのは、日本海でのイカ漁だ。日本の排他的経済水域にある「大和堆」と呼ばれる好漁場で、多数の北朝鮮漁船が不法操業していた。水産庁の17年12月8日付発表によると、水産庁や海上保安庁の対応で8月中旬からいったんはほとんど確認されなくなったが、9月中旬以降は木造船に加え鋼船も姿を現したため、厳しい措置で退去させたという。昨年11月ごろから、北海道や青森県の日本海側や秋田県に、北朝鮮のものとみられる木造船が相次いで発見されたのは、記憶に新しい。
その影響もあるのだろうか、特にスルメイカ漁が近年大不振だ。農林水産省の漁業・養殖業生産統計によれば、2006年の漁獲量は19万317トンだったが、15年に12万9235トン、16年になると7万197トンと激減した。
この統計を見ると、過去10年間で漁獲量を大きく落とした魚種が複数見つかる。2006年と16年を比較した場合、カツオは32万8044トンから22万7946トン、サケ類は21万8907トンから9万6360トン、ホッケは11万6391 トンから1万7393トン、カニ類が3万6591トンから2万8359トンといった具合だ。サンマも24万4586トンから11万3828トンと半減以下となった。ほかの魚でも特に16年に状況が悪化しているケースが見つかる。
そして昨年から今年初めにかけて、サンマやイカのほかにシラス、ハタハタ、サケ、スケトウダラといった魚の不漁を報じる記事が次々に出ている。一過性のものでないとしたら、気がかりだ。