社会現象を引き起こしたテレビアニメ「けいおん!」(2009年)の中野梓でブレイク以降、若手女性声優のトップを走り続ける竹達彩奈さんは、常にファンを驚かせる存在だ。声優として大ヒットアニメの主役に抜擢され続けているだけでなく、歌手としても活動しており、CDや写真集、DVDをリリース。吉野家やおやつカンパニー、ダイドードリンコといった企業のCMやポスターに起用されている。2017年は「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)といったバラエティー番組の出演や、12月28日にはNHK総合の実写ドラマ「ちょい☆ドラ2017~人生でエモいことは10分で起こる~」にヒロインとして登場したのだ。
NHKの面接担当者は私の事をほとんど知らなかった
――アニメでは数々のヒロインを演じてきた竹達さんが、NHKの実写ドラマのヒロインに抜擢されたというニュースはファンの度肝を抜きました。
竹達「それは『演技を見てみたい』という連絡が事務所にありまして、なんだろう?という思いで出かけて行ったんですね。通された部屋に現れた方は「声優をされているとお聞きしております」と私の事をほとんど知らなくて、それがドラマのオーディションというか、面接だったんです。おそらくキャストを決める段階で私の名前が挙がっていて、その確認でよばれたのだと思います。
――声優、歌手、顔出しのCMとマルチな活動をされていますが、ご自身ではどの様にお考えですか?
竹達「以前の私だったら『どうしてドラマに出なきゃいけないの?』と思って、たぶん素直にお受けできなかったと思うんです。私は声優だから、という思いがあって、声優イコール裏方というイメージが強かったんですよね。だから声優なのに何で写真を撮るの?歌を歌うの?そういうふうに私の中では当然の事と思えていなかったんです」
――2017年11月29日に初のベストアルバム「apple feuille」がリリースされました。歌手活動は5年前から始められ、声優の悠木碧さんとの2人組のユニット「petit milady」も人気です。
竹達「CDデビューの時も自信が無かったし、歌を始めるのは自分の人生の中では大きな決断で、勇気が必要でした。子供の頃から堀江由衣さんが大好きだったんですけど、堀江さんが音楽活動をしたり、作品に関わる歌をステージに出て歌ったり、声優にはそういうお仕事もあるということが頭で分かっているというか、見ていたわけですが、それをイコール自分がやる、という考えにはなりませんでした。声優の仕事に価値を感じていたので、『アニメに出たい』、だったり、『作品に関わりたい』という気持ちが強くありました。もちろんアーティスト活動だったり、顔出しのお仕事だったり、他のお仕事も価値のあるものですが、当時の私は声優だから『声優』としてキャラクターに声をあてるという事にこだわっていました。