カヌーの大会に出場した鈴木康大選手(32)がライバルの小松正治選手(25)のドリンクに禁止薬物を混入させていたことが明らかとなり、アスリートらが続々とインターネット上でドーピング違反への警鐘を鳴らしている。
目立つのはドリンクが入った容器の扱い方。元陸上400メートル障害の為末大氏(39)は「ペットボトルはかならず開けた時に音がするか確かめろと言われたな」と経験に照らして発信した。水泳のシドニー五輪代表・萩原智子氏(37)も「新しいペットボトルの蓋を自分で開けて飲みなさいって注意されてた」と振り返った。
「開けた時に音がするか確かめろと言われたな」
日本カヌー連盟は2018年1月9日、石川県小松市で17年9月に行われたカヌー・スプリントの日本選手権で、カヤック・シングルの鈴木選手が、小松選手のドリンクボトルに禁止薬物を含むステロイドを故意に混入させていた事実を発表した。小松選手は試合後のドーピング検査で陽性反応を示し、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は暫定的に資格停止処分を下していたが、鈴木選手が混入の事実を認め、処分は解除。一方でJADAは鈴木選手に8年間の資格停止処分を下した。
鈴木選手は、レース中に放置されていた小松選手のドリンクボトルに薬物を混入。両選手は20年東京五輪出場をめざしてライバル関係にあった。他人からの禁止薬物混入でドーピング違反が発生するのは日本初とされており、波紋が広がった。
05年世界陸上ヘルシンキ大会銅メダリストの為末大氏はツイッターで9日、
「誰かから渡された飲み物は飲むな。ペットボトルはかならず開けた時に音がするか確かめろと言われたな」
と投稿し、今回の問題を報じた記事のURLをシェア。警鐘を鳴らしている。