トランプ氏が30年ぶり「とてつもない」税制改革  これも「アメリカ・ファースト」なのか

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「法人税引き下げ競争」で財政赤字拡大?

   財政赤字の行方も気がかりだ。議会の独立調査機関は、トランプ減税の経済成長率の押し上げ効果は10年間で0.8%増(年平均0.08%前後)にとどまると試算している。そうなると、税収増効果は限られ、差し引き、10年間で1兆ドル規模の赤字拡大になる。そうなれば、赤字削減のため、共和党が議会の主導権を握っている現状では社会保障費の削減に向かう可能性もあり、民主党からは格差拡大への批判がさらに強まりそうだ。

   もう一つの懸念が、各国の「法人税引き下げ競争」に拍車をかける可能性があることだ。米国は主要国で最も高い税率を35%から一気に21%に下げるので、国と地方を合わせた実効税率も約41%から約28%へと大きく下がり、29%台の日本より低くなる。欧州の主要国も段階的に減税していて、英国は19%、ドイツは29%。フランスも25%まで下げる方針、といった具合だ。

   企業にとっては歓迎すべきことだが、行き過ぎた競争は歪みを生む。心配なのが財政赤字の拡大だが、所得税や消費税の増税で賄おうとすれば、家計にしわ寄せが及ぶ。日本でも「法人税減税のため」と銘打ってはいないが、消費税が徐々に上がり、欧州でも付加価値税が引き上げられてきた。

   税率が極端に低いタックスヘイブン(租税回避地)などを舞台にした課税逃れ対策など、税制は「国際競争」一辺倒でなく「国際協調」も必要な分野だが、トランプ政権が税制でも「米国第一」に大きく踏み出した結果、ここでも協調の行方が一段と混とんとしてきたのは間違いない。

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