トランプ氏が30年ぶり「とてつもない」税制改革  これも「アメリカ・ファースト」なのか

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米財務省は減税で税収が増える「上げ潮派」の立場

   株式市場も基本的に好感して、上値を追い続けており、米市場関係者からは「株式相場は減税効果を織り込み切れておらず、上値余地はまだある」との声も出ている。

   米財務省は減税による経済成長率が2.9%に高まると試算。税収が10年で1.8兆ドル増えるとも分析しており、1.5兆ドルの減税の「元は取れる」との立場だ。日本では「上げ潮派」と呼ばれる、減税で税収が増えるという考え方だ。

   だが、期待通りの効果を生み出すかは予断を許さない。米国の景気拡大は8年を超えたものの、成長率は2%前後と力強さを欠いている。トランプ公約である「成長率3%超」のための減税という位置づけだが、低失業率の中で賃金水準が世界でも相対的に高い米国で、企業、とりわけ製造業の米国内投資が、今回の減税で活発化する保証はない。市場では「減税による果実をM&Aに振り向ければ御の字で、自社株買い・消却など株主還元に充てられる部分が多いのでは」との見方が強いようだ。むろん、株主還元自体は株式市場の期待を高めるので、株価は押し上げても、賃上げや雇用拡大がどこまで広がるか、過大な期待は持てそうもない。

   個人減税についても、税率引き下げや税控除拡大などの根幹部分は2025年までの時限措置で、恒久減税の法人税とは差がある。超党派の調査機関の試算では、2018年では95%の家計が減税になるとしているが、所得上位2割の平均減税額7640ドルに対し、下位20%では平均60ドルと、富裕層ほど恩恵が大きいとの計算になった。このため、苦境にある中間層の不満解消につながるかは疑問で、野党民主党は金持ち優遇との批判を強めており、トランプ減税への反対が多数という世論調査結果も報じられている。

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