異例のタイミングでの「両者トップ」会見
本気度はパナソニックとの協業開始を発表した記者会見でも伝わった。東京都内で2017年12月13日に開かれた記者会見に登場したのは、トヨタの豊田章男社長とパナソニックの津賀一宏社長。会見はあくまで車載用角形電池事業の「協業の可能性検討」で、具体的な決定事項はない。企業同士が提携する場合、この段階では記者会見などは行わず、もう少し骨格が固まってからオープンにするケースが多く、まして、両社のトップが顔をそろえるのは異例といえる。
それでもいち早く発表したいという思いがあったのだろう。豊田社長はあいさつで、トヨタグループ創始者の豊田佐吉が蓄電池の開発を奨励していたというエピソードを披露。2013年には静岡県湖西市の佐吉記念館を津賀社長に案内したことを明かし、「津賀社長と佐吉記念館で出会ったときから、こうなることは必然だったのではないか」と笑顔で語り、「日本で生まれ育った両者が電動化の時代をリードしていく」と力を込めた。
近年のトヨタの躍進は、エコカー抜きでは語れない。電動車の先駆けとなったHV「プリウス」を1997年に発売。2012年には「プリウスPHV」を投入し、14年には量産型FCV「MIRAI(ミライ)」を送り出した。世界で販売したこれら電動車は累計1100万台を超えている。
だが、EVというピースがないのが大きな不安材料だった。そこで手を結んだのが、車載電池世界最大手のパナソニック。不安を打ち消すのに十分な材料を手に入れたといえそうだ。