出光経営陣は「鳴くまで待とう」作戦 創業家との「合併バトル」決着を急がない理由

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創業家は株を買い増し

   アクションの目玉が事務所統合だ。2018年春をめどに原油・需給、調達、環境安全の各部門の事務所統合を推進。同じオフィスで両社員が顔を突き合わせて働くことで日常的にシナジーを考える環境も整える。事務所統合によって冒頭に記した通り、約300人が同一事務所で業務を行う。相互出向に取り組むことで組織融和も図る。人事部門はすでに2017年11月に相互出向を実施。今後は各部門に相互出向を拡大する。

   創業家は出光株を買い増したとは言え、その保有比率は合併否決に必要な3分の1には届かない。その他の株主の大方は合併に賛成とみられるが、両社は株主総会を開いて強引に合併を決定せず、創業家の賛成転換を待つ長期戦に臨む。

   創業家は水面下で「創業家から1人取締役を選べ」とも主張している。具体的には出光昭介氏の次男で社員の正道氏を飛び級で昇格させよということだ。大株主でもあり、それ自体おかしな主張とまでは言えないが、出光という有力上場企業が舞台なだけに透明性を欠いた「取引」は後に禍根を残しかねない。

   両社経営陣が長期戦に挑むのは、創業家の反対理由などが投資家に理解されていないとみて、世論を見方につけるための戦略でもある。両社の「鳴くまで待とう」作戦に軍配があがるのか、その結果を見るにはもう少し時間がかかりそうだ。

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