「私は賢いというより、精神的に安定している天才と言うべきだろう」――。米国のトランプ大統領は2018年1月6日(米国時間、以下同)、前日に出版されたトランプ政権の暴露本「Fire and Fury(炎と怒り)」で、精神状態や大統領としての資質や知性を指摘されたことについて、自身のツイッターでそう反論した。
この本は、著者のコラムニスト、マイケル・ウォルフ氏がトランプ政権の関係者200人以上に取材したとされるが、ホワイトハウスは本の内容を否定。トランプ米大統領側が出版差し止めを求めていた。
元側近バノン氏を「汚らわしいスティーブ」
トランプ政権の暴露本「Fire and Fury」は1月5日発売。トランプ大統領の側近だったバノン前首席戦略官が大統領の親族らを批判したり、政権の内幕を暴露したりしたとして話題になっている。
当初、9日の発売予定だったが、トランプ氏の弁護士が出版社に出版差し止めの通告書を送ったことを受けて、逆に前倒しして発売となった。
トランプ大統領は5日、ツイッターで、「こんな退屈な本を書くために話をでっち上げた完全な負け犬だ」と、著者のマイケル・ウォルフ氏を非難。取材に応じたバノン氏が、トランプ大統領の親族を批判する発言をしたとして「汚らわしいスティーブ(バノン氏)はみんなから犬のように扱われている。気の毒だ」などとこき下ろした。しかし、こうしたトランプ大統領側の強い反発が、かえって話題性に拍車をかけたようで、書店では売り切れが続出。早くもベストセラーになっている。
その内容は、2016年秋の大統領選で、トランプ氏だけでなく陣営のほぼ全員がおそらく大統領にならないという考えで一致していたことや、その際にメラニア大統領夫人も「大統領にはならないだろう」とみていたことなどが明かされている。
一方、本の発売後の6日、トランプ大統領はツイッターで、
「私は非常に成功したビジネスマンからテレビスターになり、初めての挑戦で大統領選に勝利した。賢いというより、精神的に安定した天才に値する!」
と投稿して自画自賛するなど、批判本に反論する形となった。
ツイッター社「世界の指導者のアカウントは凍結しない」
トランプ米大統領のツイッターでの発信には、内容の真偽などについて様々な指摘があるが、米ツイッター社は2018年1月5日、「Twitter上の世界の指導者たち」というタイトルの文章を掲載。世界の指導者たちのアカウントは基本的に凍結しない方針であることを明らかにした。
これは米トランプ大統領がたびたび過激な発言を投稿することを念頭に置いたもので、ツイッターは「攻撃的な行為」にあたる投稿を禁止していることもあり、トランプ大統領のアカウントの凍結を要求する声も高まっていた。
トランプ大統領は2日に、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の「核のボタン」発言に対して、「私の核のボタンのほうがより大きく、強力であると伝えてほしい。そして私のボタンは作動するということも!」と投稿。国内外で大きな議論を呼び起こしていた。