ペットフード協会の調べによると、2017年10月現在で全国20~70代による犬の飼育数は892万匹、猫は952万6000匹となり、今年初めて猫が犬の数を上回った。日本では長い間、ペットとして人気を保っている動物だ。
一方で、今も多くの犬や猫が自治体に引き取られ、「殺処分」されている。東京都ではこうした状況に歯止めをかけるため、施設に引き取られた犬猫をウェブサイトで紹介し、飼い主を探す取り組みを始めた。
ボランティア団体の「譲渡会」を1ページにまとめ
環境省動物愛護管理室によると、2016年に殺処分となった犬と猫の数は5万5998匹。10年前と比べると6分の1ほどに減ったが、それでも6万匹近くが犠牲となっている。逆に返還・譲渡率は50.4%となり、記録が公開されている1974年以降で最も高い数字となった。これは望ましい傾向といえよう。
譲渡とは、新たな飼い主が、各地の動物愛護センターやボランティア団体が保護している動物を譲り受けること。同センターでは定期的に「譲渡会」を開催している。各自治体のウェブサイトでは、こうした情報を掲載しているケースが多く見受けられる。
東京都動物愛護相談センターが17年11月22日に開設した「ワンニャンとうきょう」では、動物の譲渡の流れから犬猫と一緒に暮らすためのポイントのほか、ボランティア団体の譲渡会情報をまとめて閲覧できる。10月末時点で東京都に登録されているのは49団体で、それぞれが開催する譲渡会の日程や場所、連絡先の情報が1ページにまとまっており探しやすい。都動物愛護相談センターの情報も別途掲載されている。
飼い主による飼育体験談も紹介されていて、参考になる。一方で譲渡を受けるための条件として、「飼うことを家族全員が賛成している方」「最期まで責任を持って飼い続けることができる方」「動物に不妊去勢手術による繁殖制限措置を確実に実施できる方」など9項目を挙げている。譲渡事前講習会の受講も課している。安易な気持ちではなく、きちんと世話ができる人を探しているのだ。
2019年度までに「殺処分ゼロ」掲げる
「ワンニャンとうきょう」では、譲渡可能な犬猫を写真付きで紹介している。名前や現在管理している場所も分かる。12月28日時点で犬は1匹、猫は掲載情報がなかった。
東京都の小池百合子知事は、2019年度までに犬猫の殺処分ゼロを掲げている。16年度は犬の処分数でゼロを達成したが、猫は94匹いた。「ワンニャンとうきょう」のような取り組みで、殺処分ゼロへの動きを加速したいところだ。