横綱白鵬が、横綱審議委員会(横審)の委員らの目の前で「張り手」を繰り出した。東京・国技館であった稽古総見でのことだ。
横審は先日の会見で、白鵬の張り手に苦言を呈し、注意を促していた。総見出席の相撲関係者やテレビのコメンテーターからは、「けんかを売ってるのかな、横審に」「ここで(注意を)言わないとどうすんの、横審は」といった感想が出た。
「横綱相撲と言えない」など批判的な投書
2018年1月14日に開幕する初場所を前にした稽古総見は5日に行われた。白鵬は、幕内の正代を相手に7番をとり全勝、6番目の土俵で「張り手」を出した。この様子は、「白鵬、横審の前で不評の張り手 解説者『不届き者だね』」(朝日新聞、ネット版)、「(略)正代圧倒も一番だけ張り手出た」(スポーツ報知、同)などと報じられた。
朝日記事によると、稽古のあと、白鵬の張り手について、元横綱で相撲解説者の北の富士勝昭さんは「不届き者だね。あれだけ横審から注意されているのに。けんかを売っているのかな、横審に」と「ちゃめっ気を交えて」語った。一方、報知記事によると、横審の北村正任委員長からは、「『おとがめ』なし」で、「横綱相撲に及第点をつけていた」
横審の北村委員長は、17年12月20日の臨時会合後の会見で、白鵬の張り手などの取り口の多さについて、「横綱相撲と言えない」など批判的な投書が多く寄せられていることを明かした。さらに、白鵬の自覚を促すよう相撲協会としても工夫、努力をして欲しい、とする意見も来ていることを紹介しながら、白鵬に注意を呼び掛けていた。
「我慢しきれず出ちゃったという感じに...」
今回の総見の様子は、1月5日当日の情報番組「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)でも紹介された。総見の稽古映像を交え、白鵬が「苦言を呈されていた張り手」を出したとして話題にのぼると、東京相撲記者クラブ会友の大見信昭さんが
「くせがなかなか抜けきれないんですね」
と感想をもらした。コメンテーターのジャーナリスト、木村太郎さんは
「横審がこの場で何か注文つけないと、いけないはずでしょ」
「ここで(注意を)言わないでどうすんの、横審は」
と、約2週間前の横審会見の内容を踏まえ、横審に苦言を呈した。
相撲リポーターの横野レイコさんは、
「(張り手を)やめようとして、(正代と)6回やって我慢しきれず出ちゃったという感じに...」
と、白鵬の「やめよう」とする姿勢を評価したが、
キャスターの安藤優子さんは
「でも、あれだけ(注意を)言われてねえ」
と、張り手を出したことに納得がいかない様子だった。
先の朝日記事などによると、白鵬は稽古後、無言で国技館を去った。
もっとも、今回の総見での白鵬の「張り手」をめぐっては、見解の相違がある。同じ5日放送の「Nスタ」(TBS系)では、東京相撲記者クラブ会友の大隅潔さんは、白鵬の7番について「張り手(やかち上げ)はなかった」と解説した。該当場面の映像を見ても若干微妙で、先の報知記事では、見出しと前文で「張り手」とある一方、本文部分では「相手の顔をなでるような張り手」といった表現もあった。