大塚製薬の耐性結核薬デラマニド 今年度創設の健康・医療戦略推進副本部長賞

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   医療分野の研究の推進を狙い、世界的な成果を顕彰するため政府が今年度から創設した日本医療研究開発大賞の1つに多剤耐性結核薬デラマニド(一般名)を開発した大塚製薬が選ばれた。

   2017年12月22日、東京で開かれたNPO法人ストップ結核パートナーズシップジャパンの総会で披露され、祝福を浴びた。

  • 結核菌
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世界の60超の国々で使われている

   受賞したのは研究開発面を重視した健康・医療戦略推進副本部長賞で、12月13日、副本部長を務める茂木敏充・健康医療戦略担当大臣から表彰状と楯が贈られた。

   結核菌は消毒や乾燥に強い特別な細胞壁を持っている。デラマニドは、代表的な結核薬イソニアジドと同様、壁を作っている脂質ミコール酸の合成を阻害する。飲み薬 (錠剤) で副作用が少ないのも特徴だ。昨年も世界で170万人が死亡するなど、結核は現在も最大の感染症だが、経営者の意向で大塚製薬は1980年代から研究に着手、2001年にようやく有効な新規物質を発見、デラマニドに結実した。

   結核治療の中心であるイソニアジドと一般的な抗菌薬リファンピシンの中途半端な使用法から両方が効かない多剤耐性結核が各地で増えてきた。デラマニドはイソニアジドと作用点が異なるために多剤耐性の患者にも有効で、2014年は欧州、日本で承認、15年には世界保険機関 (WHO)の必須医薬品に指定され、今や60超の国々で使われている。

   多剤耐性患者はとくにインド、中国北部からロシアにかけて多く、結核死亡の半数を占めている。安倍首相とロシアのプーチン大統領との会談で結核が話題になり、大塚製薬は今夏、ロシアの製薬企業とライセンス契約を結んでいる。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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