神戸製鋼所のアルミ・銅製品など品質データ改ざん問題は、新たに現職の執行役員3人が不正を認識していたことがわかった。弁護士で組織する同社の外部調査委員会の調べで2017年12月21日、明らかになった。3人は不正を知りながら、取締役らに報告しておらず、同社のこれまでの社内調査が「お手盛り」だったことが改めて裏付けられた。
神鋼はこれまでデータ改ざんなど一連の不正に役員らの組織的な関与はなかったと否定してきたが、現職の執行役員が少なくとも不正を認識していたことがわかり、不正が組織ぐるみだった実態が明らかになった。
執行役員3人が不正を認識
神鋼の外部調査委員会は11月10日に発表した中間報告書で、不正の実態について「関与者が複数の部署にまたがり、直属の上司からの明示または黙示の指示があった」と組織的な関与を指摘していたが、現職の執行役員3人が特定されたのは今回が初めて。3人のうち、2人はアルミ・銅事業の工場長を経験しており、少なくとも約10年前から不正の実態を知っていた。残る1人は工場長の経験はないものの、データ改ざんなどの不正を認識していたという。
神鋼は12月末に外部調査委が最終報告書をまとめ、再発防止策と合わせ、一連の不正に幕引きを行う予定だった。しかし、現職の執行役員3人が不正を認識していたことが新たに判明し、外部調査委の調査は2018年2月末まで継続することになった。
17年12月21日に記者会見した神鋼の梅原尚人副社長は「3人の執行役員が直接、不正に関与していたとか、指示していたという報告は外部調査委から受けていない」と説明したが、今後の調査で現職役員の関与が明らかになる可能性もある。