お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんが2018年1月1日未明、討論番組「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)の元旦スペシャルに出演した。
「THE MANZAI」(フジ系)で披露した政治風刺漫才で、賛否含め大きな反響を呼んだ村本さんだが、「朝生」でも強烈な発言を連発、正月からネットを騒がせている。
「テレビがあまり頭の良くない人に合わせて...」
年明け直後の深夜1時から、5時50分まで放映された元旦スペシャルには、村本さんのほか、政治家、研究者、ジャーナリストなどそうそうたる面々が集まり、田原総一朗さんの司会のもと、「激論!"平成30年"日本の未来」をテーマに侃々諤々(かんかんがくがく)の討論を交わした。
村本さんは冒頭からテレビなどの報道・情報番組が、日馬富士暴行問題などばかりを扱い、一方、沖縄の基地問題などは小さくしか扱わないとして、「テレビがあまり頭の良くない人に合わせていっている」と批判するなど、積極的に議論に加わっていく。
中でもネット上の反響が大きかったのは、番組後半、憲法改正と自衛隊の関係が論じ合われた部分だ。「どうしても気になる」と議論に割って入った村本さんが尋ねたのは、
「(自衛隊が)違憲というのは、何が違憲なんですか?」
法学者の井上達夫・東京大学教授が、「君、9条2項(『前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』)の文章読んだことあるの?」とキツイ語調で尋ね返すと、村本さんは「読んだことないです」。これには田原さんも、「読めよ!ちゃんと」。井上氏も「少し自分の無知を恥じなさい」。しかし村本さんは、「(自分は)視聴者の代弁者だから、テレビはそうなんですよ」と引かない。
国際政治学者の三浦瑠麗氏が、先ほどの質問は「これ(9条2項)をそのまま守れよ」という問題提起なのだと解説すると、村本さんも、「僕は全部それ(戦力、交戦権)放棄した方がいいかなと思うんです」。いわゆる「非武装中立」が、村本さんの理想だという。
だが、村本さんの主張にスタジオの反応は冷たい。
「殺されます。だって誰かを殺すわけでしょ?」
先ほどの井上氏は、非武装中立は筋が通った論であると一定の評価をしたうえで、もし他国が攻めてきたらどうするのか? と村本さんに質問する。これに村本さんは、
「なぜ攻撃されるんですか? なぜ中国とか北朝鮮が日本を攻撃するという発想になるのかわからない」
と返すが、これに田原さんが「米軍と自衛隊がなかったら、尖閣(諸島)は中国が取りに来る。取られていいわけね?」と食いつく。
「僕は取られてもいいです。明け渡します」(村本さん)
井上氏が、「敵を殺さないと自分が殺される状況に置かれたらどうするの?」と重ねて聞くと、「殺されます。だって誰かを殺すわけでしょ?」。だが井上氏はこうした考えに、
「あんたが自発的にやる。それは立派なことだ。(問題は)他者にそれを義務として押しつけられますか? ってことなんだ」
と手厳しい。
「でも中国から取ったんでしょ?」
その後も、スタジオでは非武装中立論について、さまざまな角度から否定的な意見が相次ぐ。メディア史学者の李相哲・龍谷大学教授が、「じゃあ(中国が)『沖縄ください』って言ったらあげるんですか?」と問いかけたのに対し、村本さんが「もともと、でも中国から取ったんでしょ?」と返して、スタジオがどよめく一幕もあった。
総じて議論がなかなかかみ合わず、ともすれば村本さんへの「集中砲火」になりがちな展開が目立ったこともあり、村本さんは、「これって議論でしょう? 非武装中立にもいい面と悪い面があるんですけど、今一斉に悪い部分言ってるから、これ会話にならない」といら立ちを見せる場面も。一方、この日の番組でたびたび村本さんと議論した井上氏は、終盤、こう指摘する。
「村本くんの発言の裏に、ある種の愚民観を感じるのね。国民はよくわからないんだから、とか。キミ一見ね、国民の目線に立っているようだけど、すごく上から目線なんだよ」
沖縄に関する発言は「反省」
番組終了後、村本さんが自らのツイッターで、
「2018年になりましたが、いま2018年の一年分くらいネットで叩かれてると思います。。」
とつぶやいたように、ネット上では番組の一部分を切り出した動画が拡散するなどして、かなりの賛否両論が巻き起こっている。しかし本人は、
「あとおれが前から自分は無知だ、と言ってて、今回の朝生のオファーあった時に、小学生以下のバカ丸出しの質問して話し止めるけどそれでいいなら出るってのが条件だったから、おれ的にはなんでも質問できて、最高に楽しかった。元旦から何見せられてんだって方、クレームは田原さんと朝生へ」
「テレビで無知晒してバカ晒してまわりにブチ切れられて誰かが学べばいいんじゃない?自ら賢いなんか一言も言ってないおれを呼ぶってのはそういう番組だってこと。その理由に終わりで田原さんが最高だった、ってわざわざ声かけて来てくれた」
と胸を張る。ただ「中国から......」の部分だけは、琉球王国と中国王朝が冊封関係にあったことを「拡大解釈」してしまったと反省を口にしていた。
田原さんもツイッターで、「村本さんが視聴者、お茶の間レベルに落とし込もうと何度もチャレンジするも、なかなか(うまくいかなかった)」という一般視聴者からのツイートに答える形で、
「村本さんがいて、とても良かったと思います」
と、村本さんを評価した。