岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
エルサレム首都認定にユダヤ教徒が見る「歴史」

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「ハヌカ」の時期になされた首都宣言

   デビーの夫・ジャシュワ(60、前回も登場)が口を挟む。

「しかも、トランプのイスラエル首都認定は、奇跡的にもちょうどハヌカの時期(2017年は12月12日~20日)だった」

   ハヌカは紀元前2世紀半ばに、ユダヤ人が大国シリアから宗教の自由を勝ち得たことを祝う祝日だ。当時、シリアの占領軍はユダヤ教の勉強や祭りを禁止し、エルサレム神殿にゼウス像をまつった。これに対し、ユダヤ人は結集して抵抗し、ついに勝利を収めた。彼らは「異教徒によって汚された」神殿を清めた。この時、神殿のランプの油は1日分しかなかったのに、奇跡的に8日間、燃え続けた。この8日間を「神殿の清めの祭り」として祝うことにした。

   デビーが言い添える。

「まるで、歴史は繰り返す、とでもいうように。今回のことはすべて『神の手』によってなされたと、私の周りの正統派ユダヤ教徒たちは皆、同じように感じているわ」

   ニューヨーク市は極端に民主党寄りだが、正統派ユダヤ教徒が多く住む地域では、トランプ氏に投票した人の割合が極めて高かった。デビーの家族や親族もほぼ全員がトランプ氏を支持したが、デビーはクリントン氏に一票を投じた。

   「今ならトランプ氏に投票する?」という私の問いに、少し間をおいてデビーは答えた。

「たぶんしないと思う。ビジネスマンならいいけれど、政治家としてはあまりに強引で身勝手で、信用できない。ただ、これから数年の間に何が起きるのか、見守っていきたい。ユダヤ人でない王を、私たちはこれまでも王と認めてきたように」
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