再編は重要な生き残り策だが...
地銀の経営環境が厳しさを増す中、再編は重要な生き残り策だ。それだけに、審査の高いハードルを見せつけられた金融界からは「公取委のせいで再編が進まない」といった不満が漏れている。
公取委が異例の見解を示したのは、こうした批判に反論する狙いもあったとみられる。山田事務総長は記者会見で、審査の判断基準について米国などでも同様の審査をしているとして、「国際的にみて標準」と強調し、理解を求めた。さらに、「地銀の競争手段は多様だ」と述べ、経営統合以外にも収益力強化の方法があると指摘した。
長崎県では、離島が多いこともあって地域によっては金融機関が少ないといった事情があり、中小企業の間で「ふくおかFGと十八銀の統合で寡占状態になれば、貸し出し金利が上がるのではないか」との懸念が根強いのは事実だ。公取委は「顧客の利便性」を盾に、現状のままでの統合は認めない姿勢を鮮明にしている。
ただ、銀行業界では「貸し出し金利が上がれば、他県から競合行が参入する。競争がなくなることはない」として、公取委に柔軟な対応を求める声が強い。金融庁も11月に公表した「金融行政方針」で「経営統合も一つの選択肢」としたうえで、「競争のあり方も含め検討する必要がある」と公取委を『けん制』していた。
公取委と金融庁が一歩も引かない中、地銀の再編相手選びはますます難しくなりそうだ。