神戸製鋼所や日産自動車に端を発した日本企業の品質管理問題が、経団連の自主調査でどこまで拡大するか注目されている。経団連は2017年12月4日、1500の会員企業・団体に不正がないか年内をめどに自主的な調査を行うよう文書で通達しているが、21日には東京・大手町の経団連会館に会員企業・団体の品質管理担当者らを集め、法令違反などがあった場合は速やかに公表するよう呼びかけた。
経団連では神鋼、三菱マテリアルに続き、榊原定征会長の出身母体である東レでもデータ改ざんが発覚したことから、榊原会長が会員企業に異例の調査を呼びかけることになった。12月21日は経済産業省、国土交通省の担当者らが経団連加盟の300社・団体の品質管理担当者に法令順守や情報公開について詳細かつ具体的な説明を行った。
日本企業全体の信用失墜につながるとの危機感
東証1部上場企業を中心に日本を代表する大企業が集まる経団連としては、日産、SUBARU(スバル)の完成検査問題に加え、神鋼、三菱マテリアル、東レで品質データ不正の問題が発覚したことは、日本企業全体の信用失墜につながるとの危機感がある。日産とスバルは国交省の立ち入り検査で問題が発覚したが、最近は東レのように社員の内部告発がネットに流れ、週刊誌に報道されるようなケースもある。企業側にとっては不正が見つかった場合、そのまま隠し通すわけにもいかず、危機管理が難しい時代になったといえる。
だが、不正が見つかった場合、どこまでは公表せず、どこからは公表するという明確な基準が企業側にあるわけではない。神鋼の日本工業規格(JIS)認証取り消しのように明らかな法令違反が見つかったり、消費者の安全性に直結する問題が見つかったりすれば公表するのはもちろんだ。一方、データ改ざんが見つかっても安全性などに問題がなく、取引先の企業と話し合って解決すれば公表しないケースもあるという。