議論できる場で徹底的な議論を
言論の場を提供できる言論機関が訴えたのは尋常でないだろう。かつて、学者の間で論争になったとき、一方が裁判に訴えるといいだし、実際にその準備をした。まわりの人は、裁判でやらなくとも議論する場はいくらでもあるのだから、徹底的に議論すればいいと言った。今の筆者もそれと同じ感想である。朝日新聞は、裁判に訴えなくても、グループ内の出版社を通じて反論書を出版したり、公開討論をしてテレビやネットで流したりしたほうが言論機関らしい対応だろう。しかし、それでは朝日新聞にとって勝ち目はないのかもしれない。
その中で、朝日新聞・高橋純子氏から、「エビデンス? ねーよそんなもん」といった主張も交える新聞コラムをまとめた著書『仕方ない帝国』(河出書房新社)という興味深いものが出てきた。この方は、名物記者であり、昨16年初めのコラム「だまってトイレをつまらせろ」などで安倍政治を批判するなど、いろいろと面白い話題を提供してくれる。
それにしても、モリカケについては、マスコミはもう少しエビデンスをきちっと見たほうがいいと、老婆心ながら思ってしまうほどだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ
ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に
「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「ついにあなたの賃金上昇が始まる!」(悟空出版)など。