広島県では「牡蠣」の漢字2文字のみを練習する、「広島 牡蠣とり帳」というドリルが発行された。非売品だが、小学校などで使われる。
広島県は牡蠣の収穫量が日本一として知られるものの、広島県の街頭調査では「牡蠣」という漢字を書けるひとはわずか0.6%。牡蠣への愛着などを深めるべくドリルの制作に至ったというが、「牡蠣」という漢字だけしか練習できないこともあり、面白がる声も見られる。
1冊で97回「牡蠣」と書き続ける
広島県では「牡蠣」をテーマにした観光プロモーション「カンパイ!広島県 牡蠣ングダム」を2017年10月から開始している。コンテンツには牡蠣を提供する店舗や広島の周遊のモデルコースなどが紹介されているが、今回のドリルの制作も、そのプロモーションの一環だ。
広島県は、牡蠣の収穫量が日本一でありながら(平成28年漁業・養殖業生産統計・農林水産省)、広島県が実施した、牡蠣に関する街頭調査(17年12月1~6日実施)において、10代から50代の男女508人中、0.6%にあたるわずか3名しか「牡蠣」という漢字を正しく書くことが出来なかったという。
そういった状況に広島県観光課の担当者は、25日のJ-CASTニュースの取材に対し、観光客に広島県特産の牡蠣を食べてもらいたい、としたうえで、
「広島県の人には、子供のうちから広島の特産品である牡蠣をより知ってもらい、自分でPRが出来るくらいに愛着を持ってもらう狙いから、ドリルを制作しました」
と語った。
ドリルは12月14日に制作された。クロダイなど魚の研究を行う、海野徹也・広島大学大学院准教授が監修しており、B5サイズ42ページで、制作数は5000部。例文の全てに「牡蠣」という漢字を用いており、ドリルを通じて「牡蠣」という漢字を97回練習することが出来る。問題文では、
「生食用と加熱調理用。どちらの牡蠣も鮮度は一緒」
「広島県の魚は牡蠣だから、漢字で書けた方がよい」
「牡蠣のほとんどは内臓だよ」
など、漢字のみならず、牡蠣に関する知識・歴史などについても勉強できる内容となっている。
ドリルは非売品で一般向けに販売していないが、県内でも牡蠣の生産が多い呉市の市立小学校・県内の図書館などへは19日から配布を行っており、広島県庁の行政情報コーナーや広島県立図書館で閲覧できる。
反響などを見ながら増刷・一般販売も?
ネット上ではこれを受けて、
「絶対虚構新聞のネタだと思ったら本当らしい」
「お土産物で売ればいいのに」
「『書き取り』と係っているあたり、他県は追随できなさそう」
と、面白がる声や一般販売を期待する声などが見られる。また、大ブームになった「うんこ漢字ドリル」(文響社)を思い出すひともおり、「うんこ漢字ドリルみたいな感じのかと思ったらただただ牡蠣の字を書かせるだけだった」という声もあった。
同担当者は、
「『牡蠣とり帳』も『うんこ漢字ドリル』と同様に楽しく学んでもらえる、という点で参考にした部分はあります」
と語る。今後の一般販売の可能性について聞くと、
「現段階では小学生向け、ということで配布しています。今後、反響などを見ながら増刷や一般販売についても検討することが出来ればと思います」
としている。18年1月9日には新年の書き初めとして、ドリルを配布した、呉市立音戸(おんど)小学校で「牡蠣」という漢字を題材に「牡蠣初め式」を行う予定だという。