「モンスト」補完する役割期待されたが
好決算を発表してから1か月ほどで、「成長株」だったチケキャンのサービス完全中止を決断せざるを得なかったのは、ミクシィにとって大きな痛手だ。
現状でミクシィを支えるのは、モンストを軸とする「エンターテインメント事業」。直近の四半期を見ても売上高で412億7100万円と、「メディアプラットフォーム事業」の11倍もある。ただしエンターテインメント事業には季節変動が伴う。例えば2016年4~9月期では、同事業の売上高は前年同期比10.8%減。事業全体でも、売上高は同9.1%減、当期純利益も同19.5%減となった。モンストの好不調が、全体の事業に響いてしまうようだ。
それだけにチケキャンへの期待は大きかったはず。11月8日の決算発表でも、森田社長は、「我々がこれから注力していく」として、プロバスケットボール「Bリーグ」をはじめとするスポーツ興行のチケット販売に活路を見いだしていたようだ。「メディアプラットフォーム事業」を「ライフタイムが長く安定したビジネス」と位置付けており、変動が大きいエンタメ事業を補完する役目を考えていたに違いない。
それでも、違法行為の疑いで捜査をうけたリスクのあるサービスを早めに「切る」決断を下した。12月27日にはチケキャン閉鎖に伴う特別損失の計上を発表したが、通期の業績で売上高や営業利益、経常利益については「現時点において本件が与える影響は軽微と判断」して変えなかった。ただ長い目で見れば、モンストに次ぐ第二の成長事業を改めて探し出し、育てなければならなくなった。