報道陣にねぎらいの言葉をかけるのが「人としての最低限の礼儀ではないか」――。貴乃花親方(45)のマスコミ対応に着目したサンケイスポーツのコラム「甘口辛口」の内容が、インターネット上で物議を醸している。
元横綱・日馬富士の暴行事件が発覚して以降、貴乃花部屋(東京・江東区)の前には記者やカメラマンが連日のように詰めかけている。そんな状況の中、冒頭に挙げたサンスポのコラム記事をはじめ、親方の報道陣への対応を問題視する声がマスコミ側から上がっているのだ。
「『ご苦労さん』の一言だけでも...」
話題のコラムは、2017年12月25日付のサンスポ紙面に掲載されたもの。ウェブ版でも配信されており、こちらには「沈黙続ける貴乃花親方...『ご苦労さん』の一言だけでも印象が変わるのでは」との見出しが付いている。
コラムの冒頭では、報道陣からの問いかけに沈黙を守る貴乃花親方に対し、「(親方は)『みなさん、寒い中ご苦労さん』とひと声でもかけたら印象がガラリと変わるのでは」と提言。続けて、
「多くの報道陣に囲まれ、無言を貫く貴乃花親方(元横綱)の姿をテレビで見て、いつも思う。相撲道の前に『人の道』がある。親方にすれば『うっとうしい』だけかもしれないが、それが人としての最低限の礼儀ではないか」
とも書いている。
さらに、コラムの後半では「寒空の下、部屋の前で待ち続ける報道陣の後ろには心配しながら見守るファンがいる」とも言及。その上で、「協会を敵に回して戦うのは自由だが、全体のイメージを低下させ客離れを起こしては何にもならない」といった苦言でコラムを結んでいる。
このように、貴乃花親方に対して部屋の前に集まったマスコミへの態度を軟化させるよう訴えたコラムの内容をめぐり、ツイッターやネット掲示板には、
「は? 勝手に押し掛けてきて何言ってんねん」
「自分たちで勝手に群がっておいて、『ご苦労さん』と声をかけてもらいたい?何様??」
「マスコミの印象変えたら報道の内容変えるの?」
といった投稿が出ることになった。
宮本和知「黙ったままだと分からない」
このように、貴乃花親方の報道陣への対応について「苦言」を呈しているのは、今回のサンスポのコラムだけではない。
12月25日放送の情報番組「ミヤネ屋」(フジテレビ系)では、元プロ野球選手の宮本和知(かずとも)氏が、「(日馬富士の暴行)事件が起きてもう2か月でしょ。ここまで長くなっているのは、やっぱり貴乃花親方が口を閉ざしているということですよね」と切り出した。その上で、
「一番迷惑しているのは、やっぱり貴乃花部屋の近所の方々だと思う。毎日毎日、報道関係者があそこにいるわけですから。そういった意味では、(親方が)貴ノ岩関の聴取の結果はいつどこで発表します、とか言ってくれないと。やっぱり、黙ったままだと分からないですよね。報道関係の方も、こんな寒い中でずっと待っているわけですから、何か一言ないと」
と親方のマスコミ対応に苦言を呈した。
この日の中継では、貴乃花部屋前に集まった報道陣がトラブルを招く事態も起きた。
25日放送の「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」で、貴乃花部屋前の様子を伝えた生中継の模様が「プライバシーの観点から失礼な放送」だったとして、番組MCを務める石井亮次アナが謝罪したのだ。
同番組では、14時頃から男性リポーターが貴乃花部屋前の様子を生中継で伝えた。その際、部屋の関係者が出入り口のドア越しに「カメラを回さないでください」と要求する場面があった。
しかし、番組ではその後も約2分間にわたって部屋の前での生中継を続けた。なお、この中継では、リポーターが「女将さんの車です」と伝えた車のナンバーがハッキリと映る場面もあった。
こうした中継のトラブルについて、番組後半では石井アナが「関係者の方にプライバシーの観点から失礼な放送となってしまいました」として、「関係者の皆様にお詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした」と謝罪していた。