ネットビジネスに消極的だったジャニーズ事務所が、積極活用路線にかじを切りつつあるようだ。人気通信アプリのLINEが元SMAPの木村拓哉さん(45)をCMに起用し、スタンプを発売することを発表。木村さんの写真入りのインタビュー記事も掲載した。
ただ、記者会見の写真はウェブサイトへの掲載を許可せず、掲載が認められたのは木村さんの写真らしき画像が入ったスタンプの画像のみ。ネットへの露出をめぐる試行錯誤がうかがえる。
写真入りのCM素材は「紙媒体でご利用可能な素材」
16年末のSMAP解散以降、木村さんがCMに起用されるのは初めて。CMは「ともだち」がテーマで、17年12月31日から18年1月2日の3日間限定で放送される。12月26日には「ちょ待てよ!」「ぺこり」「あけましておめでとう」など16種類が1セットになったスタンプの販売も始まった。
「ちょ待てよ!」は、ドラマ「ラブジェネレーション」(1997年)で有名になったセリフだ。17年12月25日に開かれた記者会見には木村さんも出席。記者会見に招かれたメディアが報じたところによると、木村さんは
「『ちょ、待てよ』というのをお願いします、というの言われて、『ああ、やっぱり来たか』という風には思いましたけど...」
「あるドラマの作品でセリフで言った覚えはあるんですけど、プライベートでこれを言うことはまずないので...」
などとエピソードを明かした。
記者会見を取材したウェブ専業メディアも木村さんの写真は掲載しなかった。LINEが報道各社に配信した資料でも、木村さんの写真入りのCM素材は「紙媒体でご利用可能な素材」として配信され、「WEB媒体でご利用可能な素材」はスタンプの素材のみだった。報道各社に所属タレントの写真のウェブ利用を認めることには引き続き慎重なようだ。
独自インタビューには写真使い、CMはユーチューブにも掲載
一方、LINEが12月26日に掲載した木村さんのインタビュー記事では写真を12枚も使っている。
「時代の流れを象徴する『ネット』、演じる場としてどう思われますか?」
という質問に、木村さんは
「うーん、どうですかね。もしそこにおじゃますることになったら、まだ自分は新人に近いわけだし。映画になろうが、テレビドラマになろうが、インターネットになろうが、自分の仕事に対する向き合い方は変わらないと思います。カテゴリーが変わるというだけで」
と応じた。ネットへの距離感を探っているようにも見える。
これに加えて、CMは12月31日から1月24日にかけてYouTubeに掲載されることが発表されている。所属タレントを起用している企業に対しては、ウェブへの写真利用を比較的許容する傾向が進みそうだ。
ジャニーズ事務所所属のタレントの写真はウェブサイトに掲載できない場合が大半だが、例外も存在する。日本航空(JAL)のCMに起用されている嵐は、JALのウェブサイトに写真はCMのメイキング動画が掲載されているし、「タッキー」こと滝沢秀明さん(35)が17年8月に日本とアラブ首長国連邦(UAE)の友好のための親善大使に就任した際には、河野太郎外相から委嘱状を受け取る写真が外務省のウェブサイトやツイッターに掲載された。