トランプが引き金を引いた新中東危機の行方 エルサレムのイスラエル首都認定

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イスラエルが軍事作戦とる公算が大

   今回のトランプ大統領の決定は、ネタニヤフ政権の対パレスチナ強硬政策に事実上のフリーハンドを与えるものとなろう。トランプ政権ではティラーソン国務長官もマティス国防長官も治安上の懸念から移転に反対したと報じられているが、それを押し切って、トランプ氏の意思が通ったことになる。トランプ大統領は選挙運動中からエルサレムへの米大使館の移転を掲げ、親イスラエルの姿勢を表明していた。ネタニヤフ政権や親イスラエルのユダヤロビーと関係が深い娘婿でユダヤ教徒のクシュネル大統領上級顧問の影響力が大きいとされる。

   トランプ大統領の後ろ盾を得たネタニヤフ政権が、今後、さらに対パレスチナで既成事実を積み上げるために入植地の拡大や自治区に対する軍事作戦など強硬策をとる可能性は強い。イスラエルでは2019年11月以前に総選挙が行われる予定で、選挙前に国民の支持をとりつけるために、対外的軍事行動に出るのは、イスラエル政権の常套手段である。

   問題は、イスラエルが対パレスチナで強硬手段に出て、トランプ政権が支持した場合、親米アラブ諸国の対応が問われる。米国の顔色をうかがって、アラブ諸国の政権が曖昧な姿勢をとることによって、民衆の反発が政権に向かい、中東での政治的な危機が生まれる可能性がある。

   2017年12月に、シリア内戦で生まれた「イスラム国」(IS)の首都が10月に制圧された後、トランプ氏の決定でパレスチナ問題が動き始めたことは、暗示的である。中東は1990年-91年の湾岸危機・湾岸戦争、▽2001年の9.11米同時多発テロとその後のイラク戦争、▽2011年の「アラブの春」――と、10年ごとの大規模な危機が起こっているが、危機の前に必ずパレスチナが動いている。

   湾岸危機・湾岸戦争の前の1987年12月にパレスチナの第1次インティファーダが始まった。湾岸戦争中にイラクがイスラエルに向けてスカッドミサイルを撃ったことは、パレスチナ問題と中東危機の関係を示している。2001年の9.11米同時多発テロの前年の2000年に第2次インティファーダがパレスチナで始まった。2011年の「アラブの春」の前には、2008年末から09年1月にかけてはイスラエル軍によるガザ攻撃・侵攻があった。

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