「いつの頃からか『歌合戦』よりも『特別枠』の方が注目されるようになってしまった」。NHK紅白歌合戦の出演者をめぐる「盛り上げ方」に、違和感が抱かれている。
2017年末の紅白は安室奈美恵さんや桑田佳祐さんの特別出演が発表され、大きな注目を集めているが、芸能ジャーナリストの渡邉裕二氏は「本来の主役であるはずの出場歌手の存在が薄らいでしまう」と危惧。出演順についても、安室さんの直後に歌うのは「リスクが大き過ぎる」と主張した。
「本来は『歌合戦』が基本コンセプト」
渡邉氏はブログメディア「BLOGOS」に2017年12月25日、「『紅白』の本来の主役は?」と題して寄稿。安室さんや桑田さんの紅白出演について「『視聴者の期待に応えた』ことは確かだ」とまず一定の評価をしている。
NHKは11月16日に紅白出演者を発表したが、約1か月後の12月19日に安室さん、22日に桑田さんが、紅・白組いずれにも属しない形で特別出演すると相次いで発表された。18年9月限りで引退する安室さんや、17年度前期朝ドラ「ひよっこ」の主題歌を担当した桑田さんの「サプライズ」は驚きを持って伝えられた。
ところが渡邉氏は、
「いつの頃からか『歌合戦』よりも『特別枠』の方が注目されるようになってしまった」
と懐疑的な見方を示した。本来は「何と言っても『紅白』『歌合戦』と言うのが基本コンセプト」であるはずが、ズレてしまっているというのだ。
スーザン・ボイルさん(09年ゲスト出演)やレディー・ガガさん(11年VTR出演)など「海外からのアーティストは仕方ない」としつつ、国内歌手を同様に扱うことに疑問を呈し、「『特別枠』は、いつの間にか、記者内から『白組』でも『紅組』でもない『桃組』なんて言われるようになった」としている。
渡邉氏は「『紅白』の主役というのは出場者歌手であることは明白だ」とし、「今回のように安室奈美恵と桑田佳祐の『特別枠』が盛り上がると、本来の主役であるはずの出場歌手の存在が薄らいでしまう」と危惧した。
安室さんの直後は「正直言って『勘弁してよ』だろう」
23日には紅白の曲順も発表されたが、安室さんと桑田さんの名前は組み込まれていない。ラスト紅白の安室さんには「持ち時間20分」を確保しているとの報道もあり、2人の出演順・出演時間も1つの注目となっている。
渡邉氏はこうした状況についても「今年の『紅白』は、もはや彼女(編注:安室さん)の『一人舞台』と化してしまうことは明白だ」とした上で、
「だとしたら、どう考えても出場歌手にとって、『紅白』の対戦でもないのに、彼女の出た後のパフォーマンスはリスクが大き過ぎる。正直言って『勘弁してよ』だろう」
と続く歌手の「負担」を心配。「究極は、全ての歌手が歌い終わった後に『最後のステージです』ともっていくことしかない。それこそ今年の『紅白』の『歌い納め』として数十分間に渡って中継する。それが視聴者を釘づけにするための絶好の手段だろう」と推測した。
インターネットユーザーの間でも、演出として紅・白組とは異なる「特別枠」が設定されたことに、どこか納得がいかない声が少なくない。ツイッターには
「安室奈美恵と桑田圭祐は、NHK『紅白』で『特別枠』の出演とか。となると、あとの歌手は『並クラス』ということになる」
「安室ちゃんは紅組、桑田さんは白組でいいじゃない。紅白歌合戦なんだから。特別枠って一体なんなの?」
「安室に続き、桑田も特別出演→じゃあ、『出場歌手』って何? なーんか、『特別出演』のほうが上みたい」
といった投稿が散見される。