岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
エルサレムの首都認定で米ユダヤ人が考えること

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   トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定宣言し、大使館を移転させる決定をしたことが、国際的な波紋を呼び、抗議活動では死者も出ている。

   1948年のイスラエル建国で、この地域に住むパレスチナ人の多くは難民となった。1967年の第3次中東戦争で、イスラエルは東エルサレムも占領。エルサレム全域を「首都」と宣言したが、国際社会はテルアビブを事実上の首都とみなしている。エルサレムはキリスト教とイスラム教の聖地でもあるからだ。

  • ユダヤ教の祝日に祈りを捧げる超正統派ユダヤ教徒たち(ニューヨーク市ブルックリン)
    ユダヤ教の祝日に祈りを捧げる超正統派ユダヤ教徒たち(ニューヨーク市ブルックリン)
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「またやってくれた」

   エルサレム首都認定を無効とする国連の決議に、賛成が128か国、アメリカとイスラエルを除くと反対は7か国という結果だった。アメリカが「賛成国への財政援助停止」を示唆したため、棄権と欠席が56か国にも及んだ。

   米国に住む知人のサラ(72)はシナゴーグ(ユダヤ教寺院)に通うリベラルなユダヤ人で、友人とクリスマスも祝う。トランプ嫌いのサラは、「またやってくれた」と言わんばかりに首を横に振る。

「トランプがやることは、いつも滅茶苦茶。問題を大きくしているだけ。パレスチナ人の反発をあおり、寝た子を起こしてしまった。イスラエルではパレスチナ自治区に、ユダヤ人が移住するための入植地を作り続けている。パレスチナ人の貧困や苦しみから目をそむけ、彼らのニーズに応えているとはいえない。そうしたことに反発を覚える人は、ユダヤ人にも多いわ」

   CNNが委託した最新の世論調査によると、今回の首都認定と大使館移転について、党派で大きく意見が分かれた。共和党支持者の79%がエルサレム首都認定、66%が大使館移転に賛成しているのに対し、民主党支持者の71%がどちらについても否定的だった。パレスチナ紛争で中立的立場の維持を促したのは、共和党支持者では44%なのに対し、民主党支持者では78%だった。

   「アメリカはもう、イスラエルとパレスチナの仲介者にはなりえない」と嘆く人もいるが、アメリカが国際社会で孤立していることについて深刻に受け止める声は、米国内ではさほど強くないようだ。

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