ツイッター上でかねてから問題視されていた差別や憎悪に満ちた投稿をする「ヘイト行為」に対して、運営側が対策を強化した。2017年12月18日、日本を含む世界各地で新ルールの適用が始まったのだ。
「暴力や身体的危害に関するポリシーの拡大」と「関連コンテンツを含めてルールを拡大」が大きな柱となっている。違反行為を繰り返すユーザーは、アカウントを永久凍結する。
プロフィール情報のヘイトにも対策
ツイッターはこれまでも、個人や集団に対する暴力的な脅迫といった行為を禁じてきた。新ルールには暴力を使用、推奨するグループに関係するアカウントや、暴力や暴力行為を賛美するコンテンツを禁止すると明記された。運営側が見つけた場合はツイートの削除を依頼し、何度も違反が行われたらアカウントは永久凍結される。
「属性を理由とした個人または特定の集団への暴力の助長や直接的な攻撃行為、強迫行為を助長すること、また、他の利用者が発言しにくくなるような嫌がらせ、脅迫、恐怖感を与えることも禁止して」きた。ここに新たに、ユーザーの「プロフィール情報」に「暴力的脅迫、攻撃的中傷や暴言、人種差別的や性差別的な表現、また、人間の尊厳を侵害する攻撃的内容や恐怖を煽る内容」が書かれていた場合にも、アカウントの永久凍結を含めた措置を取る。
さらに「ヘイト表現をともなう画像」は不適切なメディアとみなされるようになる。対象となる画像は「人種、宗教、障碍、性的指向、民族や出身地を理由に他者に対して敵意や悪意を増幅させることを目的とするロゴ、シンボル」だ。ユーザーからの報告を受けた場合、掲載者に不適切な画像の削除を要請する。ここでも「違反常習者」に対しては、アカウントを永久凍結する。
新ルールについて、ツイッターのユーザーの反応はさまざまだ。「偏った思想」の人が今後どう行動していくか注目したいとの人や、規制がどこまで機能するか、あまり締め付けすぎるのはどうかと疑問視する向きもある。
戸惑いの声も出た。何がヘイトだと認定されるか線引きが分からないというのだ。プロフィール欄に差別的な内容があったユーザーを早速通報したが、そのままになっているとの指摘や、単に好き嫌いを書いただけでも差別とみなされるのか、といった意見がツイッター上で見られた。
1年前も対策を講じたが差別ツイートそのまま
ツイッターはこれまでも「ヘイトツイート」対策を講じてきた。1年ほど前には、「人種、宗教、性別、考え方などを誹謗中傷または差別している」書き込みを運営側に通報できるようにした。
だが今日でも、ヘイトに満ちた投稿は簡単に見つかる。例えば日本では、ターゲットになりやすい在日韓国・朝鮮人に関しては「排除」「帰れ」「ゴキブリ」といった書き込みが残っており、アカウントもそのままだ。こうした差別的な言動をどのように取り扱っていくのか。
運営側も苦心しているようだ。ツイッタージャパンの笹本裕代表は12月18日、産経新聞のインタビューで「1つのツイートだけでは(ヘイトスピーチに該当するか)わからないケースがあり、前後の文脈をどう捉えていくかが非常に難しい」と明かした。表現の自由とのバランスについての質問には、「僕らは何かを統制していく存在ではなく、線引きは非常に難しい。ただ、ツイッターがなくなっても、(ヘイトスピーチなどの)問題はなくならない。どうやってこれをなくしていくか、ツイッターがみんなで語り合える場になれば本当はいいと思っている」と語った。