お笑いコンビ、カラテカの矢部太郎さん(40)の描いた実話漫画『大家さんと僕』(新潮社)が、発売からわずか2か月で18万部を突破するなど話題となっている。
ネット上の評判も好意的なものが目立ち、「続編も出してほしい」といった声も見られる。なぜウケているのか。J-CASTニュース編集部が新潮社に話を聞いた。
「小説新潮」での連載が単行本に
カラテカは、ボケの矢部さんとツッコミの入江慎也さん(40)で結成される2人組のお笑い芸人で、今回の作品の作者である矢部さんは、絵本作家のやべみつのりさんを父に持つ。
『大家さんと僕』は、矢部さんが住んでいたマンションをロケなどで酷使したため追い出されるところに始まり、「大家さん」のおばあさんが住む一軒家に引っ越してきてからの生活が描かれている。矢部さんの可愛らしいタッチの絵で、夜露に濡れないように洗濯物を取り込んでくれたりするなど様々に世話を焼いてくれる大家さんとの、あたたかい日常が描かれている。
もともとは「小説新潮」の2016年4月号から17年6月号まで全15回連載されていた作品だった。その後、描き下ろしを加えて10月31日に単行本として発売された。発売後から、矢部さんの公式ツイッターアカウントには、
「落涙しそうなときに最後のオチで笑ってほっこりすることが何度も!!素敵な本をありがとうございます」
「なんでか泣いちゃいました。永遠に読んでいたかったです」
といった反応が多く寄せられている。ほかにもネット上では、
「このご時世にこんな素敵な人間関係を築けるなんて。続編も出てほしいなー」
「なんかもうこの時間がずっとずっとつつがなく続きますように~! ふたりは永遠であってくれ~!」
と、続編を期待する声も見られる。
発売約2か月で18万部の売れ行き
さらに、作品の公式ツイッターの12月21日の投稿によると、「大家さんと僕」の発行部数は、18万部を突破したとしている。ネットの評判も相まってか、堅調な売れ行きを記録している。
ここまで人々に支持されるのはなぜなのだろうか。J-CASTニュースが22日に新潮社に取材を行ったところ、「小説新潮」に連載しているころから社内での評判は上々だったといい、
「やはり矢部さんと大家さんの奇跡のような関係や、大家さんの人柄もキュートで可愛らしいところにほっこりする人が多いのではないでしょうか。また、1ページで8コマあるんですが、1ページごとにオチがついていたりして、マンガとしても出来がいいんです」
と、新潮社の宣伝部担当者は語る。出版のきっかけについては、
「もともと矢部さんが『女帝』などの漫画で知られる倉科遼さんと知り合いで、食事していたときに大家さんの話をしたら『映像化したいからプロットを書いてみて』と言われたんです。そこで矢部さんが4コマの漫画を描いたら、倉科さんから『面白いから自分で漫画にした方がいいよ』と言われ、矢部さんが執筆を始めたんです」
という。18万部という売れ行きについては、
「現在の出版業界では2~3万部売れればすごい、と言えるレベルですから、18万部というのは、かなりすごい売れ行きです。まして、発売から2か月くらいですし、矢部さんにとっては初めての漫画であることも考えれば、普通ではないペースで売れています。編集部内でも面白い作品だとは思っていたのですが、ここまで売れるとは想像していませんでした」
と語った。続編については「今は未定です」と答えている。