日本航空(JAL)と全日空(ANA)の国内線でのサービス競争が激化している。JALは経営再建で得た収益力を背景に、座席を新型に入れ替え、機内無線LAN(Wifi)を整備。当初は有料だったものを無料化するなど攻勢を強めていた。
そこにANAもWifi無料化を発表。ほとんど国際線機材でしか見られなかった座席ごとのモニターをボーイング777型機といった主要機種に備え付けることになった。先行してきたJALに、ANAが「追いつけ、追い越せ」の様相だ。
機内Wifi導入はJALに1年半遅れる
JALは14年5月から国内線の座席を新型の「JAL SKY NEXT」に順次切り替えを進めた。普通席の座席には本革が使用され、機内の照明もLED化された。14年7月から機内Wifiの導入が始まった。当初は有料(時間制の場合30分400円)だったが、後に「15分無料キャンペーン」などを展開。最近では「17年8月31日までの期間限定」をうたっていたが、17年6月に無期限の無料化を発表した。
一方のANAは12年4月からシートのリニューアルを進めたが、機内Wifiの導入が始まったのはJALより1年半遅い16年1月。料金は時間制の場合40分で550円だった。ただ、ANA機内では持ち込んだタブレット端末やスマホを使ってCNNや日本テレビのニュースをリアルタイムで見られるようになった。これはJALが提供していないサービスだ。
A350-900と国内線向けB787の座席はどうなる
ANAは17年12月20日、さらにサービスを充実させることを発表。18年12月にWifiを無料化し、19年年度下期以降、ボーイング777型機と787型機の座席にモニターとUSBの充電ポート、PC用の電源をつける。
座席にモニターがつくのは国際線では一般的だが、国内線ではスターフライヤーが導入している程度で少数派だ。ANAも17年9月に導入を始めたエアバスA321neoで初めて国内線機材では全席にモニターをつけたが、まだ2機しか飛んでいない。777と787にモニターや電源がつくとなれば、東京-福岡、大阪、札幌、那覇といった幹線を利用する人の利便性が向上しそうだ。
国内線は市場が飽和していることもあってJAL・ANA両社の運賃は大きく変わらないため、設備の差で便が選ばれると見る向きもある。JALは「機内Wifi無料」を強調する「嵐」出演のCMを放送して差別化を図っていたが、新たな一手を迫られそうだ。
2019年には、JALでは国際線のみに就航していた787型機が国内線にも導入され、同年度に最新鋭旅客機のエアバスA350-900型機が国内線にお目見えする。このタイミングで座席が改良される可能性もありそうだ。