動物園の喫煙所に掲示された1枚の貼り紙。そこには、「喫煙者」「分類:霊長目ヒト科」「わが国では、希少動物化しつつある」などの言葉が並んでいる。まるで、飼育動物の生態を解説するような調子だ。
2017年12月上旬、こうした貼り紙を撮影した写真が突如ツイッターに投稿され、注目を集めている。すでに貼り紙は撤去済みだというが、ネット上では「最高のユーモア」「差別的だと思う」など賛否の大きく分かれた意見が相次ぐ騒ぎとなっている。
「煙を肺に吸い込むことを常習とする動物」
話題を呼んでいる貼り紙の写真が投稿されたのは12月3日。あるツイッターユーザーが「いつの間にか撤去されてたけど、その昔某動物園の喫煙所に貼ってあったコレ、最高にブラックユーモアで好きだった」などのコメントを添えて投稿した。
写真を見ると、この貼り紙は喫煙所の窓ガラスの外側にあって、上部には大きく「喫煙者」の文字。続けて、「英名:Smoker」「学名:Homo Sapiens Tabakonomisis(ホモサピエンス・タバコノミシス)」「分類:霊長目 ヒト科」の言葉が並ぶ。
さらに、貼り紙の下部には「解説」のような文章も掲載されており、
「世界中に分布しているが、わが国では、希少動物化しつつある。『たばこ』という葉をいぶしてその煙を肺に吸い込むことを常習とする動物。長時間『たばこ』を吸わないと、イライラして落ち着きがなくなる個体もいる」
などと書かれている。そのほか、「喫煙しているときの動物たちの表情は、つかの間の安らぎを満喫しているような幸福な様子もうかがえる」との一文もあった。
このように、喫煙者を園で展示している動物の一種のように扱った貼り紙をめぐって、ツイッターやネット掲示板には、「これ最高に面白いな」「目くじら立てる方が野暮」と好意的な反応が出た。ただ一方で、喫煙者とみられるユーザーからは、
「これはちょっと差別的だと思う」
「激しい憤りを感じる。少なくともマナーを守ってる人間を敢えて蔑むような貼り紙 喫煙者は見世物じゃない」
「この動物園は喫煙者を人間として見てないってことだよな? 完全に差別やん」
といった反発の声も広がっている。
「10年前に園内の喫煙所に貼っていたもの」
J-CASTニュースは22日、この貼り紙を過去に掲出していた円山動物園(札幌市)の担当者に話を聞いた。すると、「これは約10年前に園内の喫煙所に貼っていたものです」として、
「具体的には、2007年の3月から5月のゴールデンウィークぐらいまで掲示していました。お客様からお叱りの声を頂いたため、約3か月で撤去した形になります」
と説明した。その上で、「ちょっとしたユーモアのつもりで貼り出したものですが、多くのお客様に不快な思いをさせてしまい、本当に申し訳なく思っております」とも話した。
今回、ツイッター上で約10年ぶりに注目を集めたことで、園には改めて問い合わせのメールや電話が複数届いたという。こうした反応について担当者は、
「いくら昔の事とはいえ、こうした貼り紙を掲示したことは事実ですので、連絡を頂いたお客様には改めてお詫びをさせて頂いています」
としていた。