上野動物園(東京都台東区)で2017年6月に生まれたメスのジャイアントパンダ「シャンシャン(香香)」。12月19日に始まった一般公開の模様がメディアで連日のように大きく取り上げられるなど、「パンダフィーバー」は過熱する一方だ。
そんな中、インターネット上では、5頭のパンダを飼育している「アドベンチャーワールド」(和歌山県白浜町)への関心が高まっている。抽選や行列なしでじっくりパンダが見られる「穴場」だとして、「上野より和歌山」と注目をジワジワと集めているのだ。
「パンダという選択肢なら、和歌山の方が...」
上野動物園で生まれたパンダが一般公開されるのは、1988年に誕生したユウユウ以来約29年ぶり。それだけに、19日から始まったシャンシャンの一般公開(期間は18年1月21日まで)には、多くの観覧希望者が殺到している。
今回の観覧では、シャンシャンの負担や園内の混雑を避けるため、観覧は1日400組に限定。それにも関わらず、事前抽選の応募数は約63万組に及び、抽選倍率は最大144倍まで膨れ上がっている(20日14時時点)。
こうした一般公開の模様はテレビのワイドショーや新聞などで連日のように大きく取り上げられている。そのほか、JR上野駅構内の商業施設「エキュート上野」では12月1日からパンダフェアをスタート。京成電鉄はパンダラッピングの特別列車の運行を発表するなど、フィーバーにあやかった企画が次々と展開されている。
そんな状況の中、ネット上でジワジワと注目が集めているのが和歌山県の「アドベンチャーワールド」だ。同園では、16年9月に生まれた1歳の結浜(ユイヒン)をはじめ、5頭のジャイアントパンダを飼育。そのうち4頭が同園で誕生したパンダだ。14年には双子のパンダも生まれている。
今後、抽選を必要としない通常公開が2月以降に始まったとしても、シャンシャンの観覧を求める客で大混雑が予想される上野動物園。それを避けて、ゆっくり気軽にパンダが見られるアドベンチャーワールドの来園を勧める意見が、ツイッターなどで広まっているのだ。
「上野より、和歌山の方がパンダ見るには楽しい」
「パンダがゆっくりたっぷり独り占めして見たい人は、上野よりアドベンチャーワールドだな」
「パンダ見るなら和歌山のアドベンチャーワールドを強く強くおすすめしたい」
そのほか、お笑いコンビ「ブラックマヨネーズ」の吉田敬さんも17年12月19日のツイッターで、「シャンシャンもいいけど、パンダという選択肢なら、和歌山の方が...」と呟いていた。
県知事「(パンダは)和歌山にもいるんです」
アドベンチャーワールドでは、パンダの屋外運動場に檻やガラスの仕切りが一切ない(堀のようなスペースは観覧場所との間にある)ため、より近くでパンダを見ることができる。実際、園の事情に詳しい関係者は21日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「平時であれば、行列ができることはまずありません。休日など観覧客が多い場合でも、少し待てば最前列でパンダを見られるような印象ですね」
とも話した。
なおインターネット上などでは、16年に生まれたユイヒンだけでなく、2000年以降に全15頭のパンダの出産に成功したアドベンチャーワールドの「報道量の少なさ」に疑問を抱く向きも。ツイッターには、
「コッチは『ジャンジャン』産まれてるのにな」
「報道がどうしても関東中心になってしまうのが腹立たしい!関西にはアドベンチャーワールドがある」
といった不満げな声も出ている。
J-CASTニュースは、新聞記事データベース「日経テレコン」で、21日17時時点のユイヒンとシャンシャンの報道量を比較した。それぞれのパンダの名前を含む記事の数(朝日、読売、毎日、産経、日経の5紙)を調べると、
「ユイヒン」...37件
「シャンシャン」...344件
だった。ユイヒンの名前が発表されたのは16年12月6日で、シャンシャンの名前が発表されたのは17年9月25日だ。
なお、朝日新聞(ウェブ版)などが12月20日に報じたところによれば、和歌山県の仁坂吉伸知事も同日の記者会見で、
「上野のシャンシャンしか世の中にいないのか、というくらいの浮かれようだ。最後に『和歌山にもいるんですよ』と一言くらい入れてくれたらいいのに」
と話したという。