欅坂46「ナチス風」衣装問題で「色使いが面白くて好き、というわけにはいかない」 ユダヤ系人権団体幹部が会見

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   ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」のエイブラハム・クーパー副所長が2017年12月20日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見した。

   SWCは、アイドルグループ「欅坂46」がナチスドイツを想起させる衣装を着たとして非難声明を出していた。クーパー氏は、欅坂46を運営するソニーミュージック側が同氏を招いて研修会を開いたり、SWC主催の展示会に幹部が訪問したりしていることに言及し、「この事実は我々の誇りとするところ」「ソニーは適切に対応した」などと高く評価し、「不幸な事案を学びの機会にすることが我々の関心事」と話した。

  • 「ナチス風」指摘は「当然」か「難癖」か 欅坂46謝罪めぐりネットで賛否
    「ナチス風」指摘は「当然」か「難癖」か 欅坂46謝罪めぐりネットで賛否
  • 衣装が「ナチス風」だとして問題視された
    衣装が「ナチス風」だとして問題視された
  • 「ナチス風」指摘は「当然」か「難癖」か 欅坂46謝罪めぐりネットで賛否
  • 衣装が「ナチス風」だとして問題視された

ソニーの対応には評価

   欅坂46をめぐっては、16年10月のイベントで着た衣装がナチスドイツを想起させるとして波紋が広がり、SWCも

「10代の若者がナチス風の衣装を着てステージや観客席で踊っているのを見ることは、ナチス大量虐殺の犠牲者に多大な苦痛を引き起こす」

とする非難声明を発表。声明発表から24時間足らずで欅坂46の運営会社や総合プロデューサーの秋元康氏が謝罪することになった。

   ソニーミュージック系列に所属する歌手としては、氣志團が11年にナチス親衛隊(SS)の制服に似た衣装を着てテレビに出演して問題化したという経緯がある。クーパー氏によると、氣志團の件でSWC側の懸念を伝えソニー側も謝罪したが、新たに事案が起こったため「さらに強く反応」したという。

   その後のソニー側の対応に、クーパー氏は総じて理解を示している。都内で開幕したSWC主催の「3500年の歴史を持つユダヤの歴史展」にソニーミュージックの幹部が2人来たとして、クーパー氏は「この事実は非常に誇りとするところだ」と述べた。数か月前にはソニー側から招待を受け、130~140人を前にプレゼンテーションしたことも明らかにした。

「我々の本当の関心事は、不幸な事案を学びの機会にすること」

   その上で、

「ソニーは適切に対応した。すぐに人を(SWCの本部がある)ロサンゼルスに派遣し、私は東京に来た。こういったことも踏まえて、その数か月後にまた東京に来た。我々の本当の関心事は、不幸な事案を学びの機会にすることだからだ。好む好まざるにかかわらず、『文化の通訳』なのは若者だ」

と述べた。

「ナチスのイデオロギーを読んでしまうと、逃れられなくなってしまう」

   クーパー氏は、

「SWCは日本に敵がいるとは思ってないことは強調しておきたい。理解や知識が足らない、というのはよくあることだと理解している。だが、ソニーのような国際ブランドだと、単に『10代前半の若い女の子だし、(衣装の)色使いが面白くて好き』というわけにはいかない」
「アジアの皆さんには、一度でもナチスのイデオロギーを読んでしまうと、誰であろうと逃れられなくなってしまうことを覚えておいてほしい」

などと話し、若者を介してナチスを容認するような考え方が広まることへの警戒感を示した。

   SWCは、ホロコースト否定論やユダヤ陰謀論を唱えるメディアに対して、広告主を巻き込みながら強硬な抗議活動を展開することで知られている。1995年1月に文芸春秋社の月刊誌「マルコポーロ」が掲載した「ナチ『ガス室』はなかった」と題する記事をめぐっては、SWCやイスラエル大使館が猛烈に抗議。文芸春秋社のスポンサーに広告出稿を取りやめるように働きかけるなどの運動を展開した。その結果、文芸春秋社は雑誌の回収と廃刊、編集長の解任を決め、全面謝罪。社長も引責辞任に追い込まれた。

   SWCは2017年11月、高須クリニックの高須克弥院長が、所属する米国美容外科学会(AACS)から「追放」されたとする声明を発表。高須氏は事実関係を強く否定した。今回の会見では高須氏の件に関する言及はなかった。

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