月面探査を競う初の国際コンテストに日本から唯一参加しているチーム「HAKUTO」(ハクト)の探査車「SORATO」(ソラト)が2017年12月19日、打ち上げが予定されているインドに向けて成田空港から出発した。
探査車は重くなるほどコストがかかるため、軽量化を尽くして重量を4キロに抑えた。出発式では、全長58センチ、高さ35.8センチの小さな車体がゆっくりと搭乗ゲートを通過。空港スタッフが成功を祈りながら見送った。
着陸地点から500メートル以上移動させて画像を地球に送る
月面探査コンテスト「グーグル・ルナ・エックスプライズ」(GLXP)は米国のXプライズ財団が主催し、グーグル社が協賛。(1)月面に純民間開発のロボット探査機を着陸させる(2)着陸地点から500メートル以上移動させる(3)その後、高解像度の動画や静止画を地球に送信する、ことが条件で、そのスピードを競う。優勝チームには2000万ドル(約23億円)が贈られる。
10年末の参加登録時点では30チーム以上が名乗りを上げたが、資金難などで次々に脱落。打ち上げロケットに「相乗り」させてもらう予定だった米国のチームも16年12月にリタイアを表明し、急きょ相乗り相手をインドのチームに変更。ハード面やソフト面で対応に追われた。現時点ではハクトや、相乗り先のインドのチーム、イスラエルのチームなど、計5チームが残っている。
バンコク経由で打ち上げ予定地のインド・バンガロールに向かう
Xプライズ財団は18年3月31日までに探査機を打ち上げることを求めており、ハクトでは18年1~3月に打ち上げたい考え。ハクトの袴田武史代表は、
「ここが大きな区切りではあるが、さらに月面でのミッションに向けて我々も加速していきたい」
と意気込んでいた。
ハクトのメインスポンサーはKDDIで、資金や通信技術面で支援する。日本航空(JAL)も12月13日に運営会社との資本業務提携を発表したばかりだ。ソラトは成田からJAL機で経由地のバンコクに向けて出発し、タイ航空機で打ち上げ予定地のインド・バンガロールに向かう。