過剰規制?
特に、「原発40年廃炉の原則」を強調し、「規制委が認めれば最長で20年間延長できるが、あくまで例外的措置とされた。......このままでは40年原則は形骸化する」(毎日)と、危機感をあらわにする。
これに対し、原発推進の読売(11月25日)は、「20年間の延長を前提に再稼働にこぎ着ければ、東京、東北両電力の安定電源となろう」と、基本的には延長を支持しつつ、「ただし、難題が山積みだ」として、安全対策に1800億円必要であることを取り上げ、「(原電の)経営の足元は揺らいでいる。......出資している東電などにとっては、難しい判断を迫られる」と、不安を展開。大がかりな避難計画策定の必要も指摘したうえで、「最終的な判断に際しては、原発の必要性やリスクに関する冷静な議論が不可欠である」と、珍しく突き放した書きぶり。社説以外の一般記事でも11月25日の3面「スキャナー」で「再稼働 原電に難題」「資金めど立たず」「避難計画、自治体同意も焦点」と、再稼働へのハードルの高さを強調。今回、社説で取り上げていない日経も、一般記事では、同様に懸念される点を指摘している。
一方、同じ原発推進の産経(11月25日)は「この40年超えが正念場だ」(11月25日)として、東海のつまずきが国のエネルギー行政に負のインパクトを与えることへの警戒感を前面に押し出し、「万一、時間切れでの廃炉を迎えると電力会社は審査リスクの高さを嫌い、延長を断念するケースが増えよう。そうなれば、2030年度での健全な電源構成目標として政府が見込む原子力の比率(20~22%)に届かず、狂いが生じる」との懸念を指摘したうえで、安全対策の費用について実質的に債務保証するスポンサーを求めていることに、「電源車の配備などを条件として稼働を認め、安全審査を並行していれば、原電や各電力会社は料金値上げもなく強固な安全対策を採れていたはずだ。この際、規制委に自問自答を求めたい」と、「過剰規制」と言わんばかり。地元自治体との関係についても、「安全協定は、法的根拠を欠いたまま既成事実化しつつある。国が前面に出て調整に当たるべき課題である」と、見直しを求めて国に発破をかけている。