避難計画と地元自治体の同意
資金のめどがついても、2018年11月末に運転開始から40年を迎えるため、それまでに安全審査に合格し、工事計画と運転延長の2つの認可を得なければならないが、むこう1年以内に完了するか、予断を許さない。クリアできなければ、即時廃炉に追い込まれる。まさに綱渡りだ。
東海第2のもう一つの大問題が避難計画と地元自治体の同意だ。半径30キロ圏の14市町村の人口は約96万人と全国の原発で最も多い。
東京電力福島第一原発事故を受けて原子力規制委員会は、それまでの目安だった半径8~10キロから、国際原子力機関(IAEA)の基準に合わせた半径30キロを「防災重点区域」とし、避難計画を含む防災計画も同県内について策定することになった。しかし、東海大2の場合、これだけの住民を安全に避難させるのは容易でなく、広域避難計画の策定は難航し、どの市町村もできていない。各市町村は茨城県が2015年に策定した広域避難計画を基に検討を進めているが、実効ある計画を策定するめどは立っていない。
避難計画とも絡んで、自治体から再稼働への同意取り付けも、法的な義務ではないが、事実上は必須になっている。原電は県・東海村と安全協定を結んできたが、水戸市、ひたちなか市など周辺5市から同様の協定締結を求められ、今回、要求に応じることを表明した。そうなれば、東海村を含む6市村のうち1つでも反対すれば再稼働できない事態もあり得、従来以上の「地元対策」が必要になる。
こうした状況を受け、新聞の社説(産経は「主張」)の論調は概して厳しい。朝日、毎日など脱原発を掲げる各紙は「廃炉が避けられない」(朝日11月24日)、「延長申請 自己保身が主目的の選択」(毎日12月5日)などとして、「原電では他の原発の再稼働が見込めず、東海第二の行く末が会社の存亡を左右する。だからといって再稼働ありきは許されない」(朝日)との姿勢で、「東海第2原発がなくとも、国内の電力需給に大きな影響はない」(毎日)、「電力不足への対応など特別な必要性があるとも思えず、原電の経営の都合だけで延長を認めるべきではない」(朝日)と、東海第2不要論を展開する。