【名医のTHE太鼓判】(TBS系)2017年12月11日放送
「ストレスで寿命は縮まるのか余命宣告SP」
検事、弁護士を経て、3年前に政治家に転身した若狭勝(61)。さきの衆議院議員総選挙では「希望の党」の立ち上げメンバーとなり、政権交代も期待されたが、あえなく落選した。
政治家引退を表明した今、自身では「すこぶる元気もりもり、心身共に生まれ変わった」と、健康だと感じているが、番組で実施した検査では、次々と問題が発覚してしまった。
「血圧何度も測り直す」実は健康的
検査の結果、血糖値、Hb(ヘモグロビン)A1c、中性脂肪、総コレステロール、悪玉コレステロール、尿酸、血圧の数値が基準から外れ、さらに萎縮性胃炎や大腸ポリープも見つかった。医師が推計した余命は7年で、現在の男性の平均寿命の81歳を大きく下回り、番組ゲストの9人中ワースト1位だった。
若狭の1日は朝7時の血圧測定から始まる。選挙期間中はそんな時間もなかったが、落選後は毎日測っている。
高い値が出ると何度も測り直し、よい数値が出たところでスマートフォンに記録した。
現実逃避では...と思ってしまうが、実はこの測り方を毎日続ければ、高血圧の改善につながりうる。
血圧測定中は腕を締め付けるため血流が悪くなり、終わると圧がゆるんで血流がよくなる。すると血管の壁と血液がこすれ、血管をしなやかにし血圧を下げる働きがあるNO(一酸化窒素)が発生する。
内科の森田豊氏「有酸素運動でNOを発生させるには20分ほどかかるといわれている。血圧測定はお手頃な方法と考えられる」
1日3回の測定で、健康効果が期待できる。
落選後はプリンやアイスを「やけ食い」
若狭の朝食は、ヨーグルトに青汁、野菜、ナッツ、梅干しなど、健康的なメニューが並ぶ。3年前に糖尿病予備軍と診断されてからは炭水化物を制限している。
国会議員時代にはなかなか行けなかった趣味の乗馬も1年ぶりに再開した。
食事に気を遣い適度に運動もしていて、健康管理できているように見えるが、なぜ検査結果は散々だったのか。
医師が注目したのは、国会議員時代のストレスだ。
選挙期間中はやせていると不健康な印象を与えるため、意識して食事を摂(と)り、さらに支援者との食事や会合が多く、1日に何度も食事する時もあった。糖尿病予備軍なのはわかっていたが、政治家は病気や調子の悪さを人に見せられないとの思いで断れなかった。
精神的な負担も相当なものだ。妻の智津子さんによると、寝言で「申し訳ございません、すみません」とはっきり言っていたとか。
落選後は「やけ食い」に走った。
智津子さん「プリンとかアイスとか、1日2~3個平気で食べていました」
森田氏によると、2型糖尿病を発症しているのが最大の問題だという。若狭氏は以前処方された糖尿病の薬を、「飲み出すと一生飲まなきゃいけない」と言われ、1か月ほど飲んでやめてしまったそうだが、森田氏は「自己判断でやめるのが最悪」と厳しく指摘する。
消化器内科の大竹真一郎氏「血圧も糖尿病もそうだが、一生薬を飲まないといけないと言う医者が悪い。生活習慣の改善で薬は減らせる。残念ながら一生飲まないと良い値にコントロールできない人も多いが、決してそうと決まったわけではない」
尿酸はいつ痛風を起こしてもおかしくない数値だったが、実はすでに3回ほど発症している。2016年の衆院議員補欠選挙では、直前に足に激痛が走り歩けなくなっていた。ストレスも痛風発作の引き金となりうる。
森田氏「今回落選して、生活習慣を改善するいい機会を神様からいただいたのではないか」
1日3分バランスボールで基礎代謝アップ
若狭氏の生活改善のため、産婦人科の丸田佳奈氏が勧めたのが「バランスボール」だ。
乗馬が趣味でも毎日行くのは難しいので、代わりに家でもできるトレーニングとしてピッタリだという。インナーマッスルが鍛えられ基礎代謝が上がり、血糖値の改善が期待できる。
最も簡単な使い方は、足を揃えてボールに座ったまま、できるだけ体のバランスを崩す。1日3分程度でOKだ。
若狭氏は仕事の合間にバランスボールに乗ったほか、食事も改善した。以前は炭水化物を食べない代わりに糖分を摂っていたが、糖分を控え、血糖値が上がりづらい玄米ご飯を食べるようにした。
10日後に再検査すると、尿酸は8.5から7.4(基準値3.8~7.0)、総コレステロールは338から264(基準値130~219)、悪玉コレステロールは246から179(基準値70~139)、中性脂肪は159から124(基準値50~149)と、血糖値関連の項目以外は数値が改善。余命は7年から12年に伸びた。
「やりがいあります」と笑顔を見せた若狭だったが、やはり心配なのが糖尿病だ。森田氏は早めに医療機関を受診するよう勧めていた。