携帯電話の電波と体への影響の関係は、かねてから議論がある。総務省によると、この問題は世界保健機関(WHO)を中心に研究が進んでおり、これまでに携帯電話の使用によるいかなる健康への影響も立証されていない。
ところが米カリフォルニア州の公衆衛生局(CDPH)は、携帯電話が発する「高周波エネルギー」による健康被害の恐れについてガイドラインを発表した。「体から遠ざけて」「電波が弱いときは使用を控えて」と具体的なアドバイスだ。
ポケットに入れずかばんに入れて持ち運ぶ意味
CDPHの2017年12月13日付発表では、携帯電話の高周波エネルギーにさらされることによるリスクについて、科学的な意見の一致にはまだ至っていないとしながらも、「長期間、高頻度の使用による影響について懸念を示している公衆衛生の専門家や市民がいる」とCDPHのカレン・スミス所長が言及した。
ガイドラインの中身を見ると、専門家の間では論争があるとしつつも一部の実験や研究結果から、携帯電話の長期間、高頻度使用が(1)脳腫瘍、聴神経や唾液腺の腫瘍、(2)精子の運動量減退や数の減少、(3)頭痛、学習や記憶、聴覚、行動や睡眠に対する影響、に関連づけられる可能性が示された。こうした結論には反対意見があり、影響は「不確かなもの」としつつも、携帯電話の高周波エネルギーに自分や家族をさらしたくない人達のための指針をつくったとしている。
まず「体から電話機を遠ざける」。通話の際は顔に近づけず、ヘッドセットを使うかスピーカー設定にして相手とやり取りする。通話自体を避けてテキストでのやり取りも推奨されている。動画のストリーミング視聴やファイルのダウンロード、大容量のファイルの送信時にも、電話機をできるだけ体から離す。持ち運ぶ際はポケットに入れず、かばんの中にしまう。電話機の電源が入っている限り、基地局とつながって未使用時でも電波を発しているからだ。
電話機の画面に、電波状況を示す「アンテナ」が1、2本しか表示されていない場合は要注意。シグナルが弱いので基地局と何とかつながろうとして、より強いエネルギーを出すのだという。高速で走行中の車、バス、電車に乗っている際も、同じ状況となる。
睡眠中は近くに携帯電話を置かない、通話をしていない際はヘッドセットを外す、といった注意事項も書かれている。